ワシントン州レドモンド発--映画監督のJames Cameron氏の目には、世界が立体的に見えている。これは誰でも同じだ。Cameron氏の主張の核心はまさにこの点にある。
「われわれが普段見ているように、物が立体的に見えると、より多くのニューロン(神経細胞)が活発になり、脳により多くの血液が送り込まれる」(Cameron氏)
Cameron氏は、これまで3D映画の制作を強く支持してきた。しかし同氏は、映画館に導入されるこうした(立体表示可能な)デジタルプロジェクタは、映画以外のコンテンツにも利用可能だと主張する。Cameron氏は、MicrosoftのAdvance 08広告カンファレンスで講演した。同カンファレンスは米国時間5月21日まで開催される。
「こうしたデジタル画像は、まるで生で見ているような感覚を味わえる」とCameron氏は語る。「デジタル画像は3D化が可能だ」
Cameron氏は、このような映画館では、感動的な紀行映画などのコンテンツに加え、スポーツやイベントのライブ映像も上映可能だと指摘する。
「まだその段階には達していないが、われわれはその移行期にいる。そこで、人々はそれに向けての戦略を練る必要がある」(Cameron氏)
米国では、すでに1000カ所以上の映画館に立体(3D対応)プロジェクタが導入されているが、Cameron氏は、2009年に予定される同氏監督の3D映画「Avatar」の公開までにそのような映画館の数が5000カ所にまで増えることを望んでいる。
これまで、同じ映画でも3D版の売り上げが2D版を大幅に上回るケースが多く、3D技術は将来、エンターテインメント業界に大きな利益をもたらす可能性もある。しかし、映画館への3D技術の導入は困難な上に高額なコストがかかる。また3D映画支持者の中には、3D技術の導入が遅々として進まない現状に不満を抱いている者もいる。
Reutersによると、DreamWorks Animation SKGの最高経営責任者(CEO)であるJeffrey Katzenberg氏は4月に「状況はあまり進んでいないように感じる。大変残念なことだ」と述べたという。
ただ、3Dは決して映画館だけのための技術ではない。最近はゲームやテレビ番組にも3D版が登場しつつあり、これこそ真の革命だ、とCameron氏は語る。
Cameron氏は「立体制作は次なる目玉になる」とし、さらに「われわれは生まれつき3Dで物を見ている。大半の動物の目は1つではなく2つだ。これが私の考える理由の1つだ」と付け加えた。
Cameron氏は、とりわけ3Dの恩恵を受けるのはビデオゲームだと指摘する。一人称視点シューティングゲームのプレーヤーは、まさに1人称視点の体験が得られるようになる、と同氏は語る。
「プレーヤーがゲームの中に入り込むのだ。これほど夢中になれるメディアは他にない」(Cameron氏)
Cameron氏によると、Avatarのゲーム版を制作しているUbisoftでは、標準的なXbox 360と3Dメガネを使った立体ゲームがすでにプレー可能な状態になっているという。
またCameron氏は、ノートPC、携帯電話、Zuneなどのディスプレイは、特別なメガネをかけなくても立体的に見えるようにすることは可能だ、と語った。
Cameron氏は、Windows OSも3Dで見えるようにすべきだと指摘した。
「(Microsoftは)多様なパートナー企業に相談すべきだ」(Cameron氏)
Microsoftは同日、同カンファレンスの中で新たな「Microsoft Advertising」ブランドを発表した。このブランドの下で、同社は、これまでバラバラだった広告主やコンテンツ制作者向けツールの統合を目指す。また同社は、携帯電話向けにディスプレイ広告の販売を開始する取り組みも合わせて発表した。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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