多くのオープンソースプロジェクトを支援するIBMが、OracleやMySQLと競合するオープンソースデータベース企業のEnterpriseDBに少額の資金を出資した。
EnterpriseDBは米国時間3月25日、1000万ドルの資金調達の発表を予定しており、IBMはその一部を出資する。その他の出資企業としては、Charles River Ventures、Fidelity Ventures、Valhalla Partnersなどが挙げられる。
EnterpriseDBの最高経営責任者(CEO)であるAndy Astor氏によると、調達した資金は、同社製品の開発、販売の強化に当てられるという。2004年に設立された同社がこれまでに調達した資金の総額は3750万ドルに上る。
EnterpriseDBは、Oracleの主力データベースと互換性のあるPostgreSQLベースの自社データベースを開発している。EnterpriseDBは同社のデータベースについて、Oracle製品よりも低価格ながら、業務用としても十分に利用可能であり、さらに人気オープンソースデータベースのMySQLよりも堅牢な製品としている。Sun Microsystemsが2008年に入ってからMySQLを10億ドルで買収している。
今回、EnterpriseDBが資金調達に成功したということは、オープンソースデータベースが事業として十分に存続可能であることを示している。Astor氏によると、EnterpriseDBは現在、200社以上の顧客を抱え、2008年内に黒字化を見込んでいるという。
IBMにとっては珍しいことだが、同社がオープンソース企業のEnterpriseDBに出資したということは、同社が競争圧力を感じていることを示唆している。
IBMは2006年、同社のDB2データベースがオープンソース製品との競争にさらされる中、DB2の無料のローエンド版を発表した。しかし、同製品のソースコードは公開していない。クローズドソース企業の中では、Oracleがデータベース市場で最大のシェアを維持している。
IBMは2003年にNovellに5000万ドルを出資し、複数のLinuxプロバイダーが企業をサポートする体制を望む姿勢を明確にした。IBMはこれまでに、多くのソフトウェア企業を買収してきたが、オープンソースアプリケーションサーバ企業のGluecode以外はすべてクローズドソースの営利企業である。
またEnterpriseDBは25日、サンフランシスコで開催されるOpen Source Business Conferenceに合わせて製品ラインの刷新を発表する見込みとなっている。
新たにPostgres Plusと命名されたEnterpriseDB製品のオープンソース版には、ビジネスインテリジェンス(BI)アプリケーション向けに特別に調整されたモジュールが含まれている。
また、Postgres Plus Advanced Serverと呼ばれるハイエンドの商用版には、Postgres Plusと同じコードベースが使われている。つまり、ユーザーはより容易にPostgres Plusからのアップグレードが可能になる、とAstor氏は語る。
Astor氏によると、両バージョンの主な違いは、Postgres Plus Advanced ServerにのみOracleと互換性がある点だという。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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