パイオニアは3月7日、記者会見を行いプラズマパネル生産からの正式撤退を表明、今後は松下電器からのパネル調達により、プラズマテレビ生産を行っていく意向を明らかにした。次期新製品をもって自社パネル搭載モデルの生産は終了となり、以降は外部調達によりプラズマテレビ事業を推進していく。
須藤社長は「現在あるプラズマテレビ工場は、生産体制を見直すとともに、市場に見合った規模へとスリム化する。また、プラズマパネル事業に従事している従業員に関しては、カーエレクトロニクス、DJ機器、Blu-rayディスクほかのAV事業等へと異動し、雇用確保を最大限に考慮する」とした。
パネル製造から組み立てまで、一貫生産を行ってきたパイオニアは、垂直統合ビジネスの強みをいかし、高画質のプラズマテレビを提供しつづけてきた。2004年にはNECが保有していたNECプラズマディスプレイズを買収し、パネル生産規模を拡大。昨年には長年親しんだ「PUREVISION」から「KURO」へとブランド名をリニューアルしている。
パネル生産に関しては、現在のプラズマテレビの多くが採用している「ディープワッフル構造リブ」にいち早く取り組み、パネルへの映り込みを低減する「ダイレクトカラーフィルター」、黒再現に欠かせない「高純度クリスタル層」の導入など、革新的な技術を次々と開発。パネル開発においては市場をリードする存在であった。
しかし、2005年ごろから薄型テレビの価格競争が激化するとともに、市場シェアは減少。液晶テレビの大画面化もこの状況に拍車をかけた。須藤社長は 「プラズマテレビに関しては、大規模な会社とは直接戦えない。商品の良さをお客様にわかっていただきながら行っていくという事業規模であった」と振り返る。
またプラズマパネル生産撤退という結論に至ったことについては「技術力、資金力、販売力というリソースと世の中のスピードが合わなかった。パイオニアらしさをどう出していくかで大変苦労したが、それが成果に結び付かなかった」と分析した。
今後外部調達されるパネルに関しては「パイオニアの持つ技術を盛り込むことを含めて現在協議中」としており、調達先については松下電器と話を進めていることも会見場で明らかにした。ただし、外部調達パネルによる新機種の導入時期は未定だ。
今後のテレビ事業に関しては、プラズマテレビとして「KURO」ブランドを推進するとともに、昨年9月に締結したシャープとの業務、資本提携を受け、今秋欧州を皮切りに液晶テレビを市場に導入する。
今回のプラズマパネル生産撤退を受け、同社のホームエレクトロニクス事業としては、2010年3月期の黒字化に貢献するとしている。
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