カカクコムは1月16日、同社が運営する価格比較サイト「価格.com」での価格データをもとに、次世代大容量ディスクとして注目を集める「Blu-ray Disc」と、「HD DVD」に対応する、それぞれのレコーダー製品の価格トレンドをまとめた。
DVDの後を継ぐ「次世代光ディスク」として注目されているBlu-ray DiscおよびHD DVDは、いずれも数年前から存在してはいたものの、これまでレコーダー製品の価格が高かったことなどから、本格普及には至らなかった。
しかし、2007年秋以降、松下電器とソニーが相次いで10万円台前半で購入可能なBlu-rayレコーダーを発表し、にわかに市場が活気づきつつある。
昨年末に発売されたパナソニックの3製品は、通常のBlu-rayレコーダーの機能にプラスして、「MPEG-4 AVC」フォーマットを採用した「フルハイビジョン4倍録り」機能を搭載。1枚のBlu-rayディスクメディアに通常の4倍の記録が行えるほか、従来のDVDメディアにもフルハイビジョン動画を録画できるため、安価なDVDメディアを有効活用できるとして人気が高まっている。
3モデルが用意されているが、ハイエンドの「DMR-BW900」は、1Tバイトもの大容量HDDを搭載するため価格もやや高め。普及機としては、HDD 500Gバイトの「DMR-BW800」と、HDD 250GBの「DMR-BW700」になる。特にDMR-BW700は、11〜12万円で購入できるとあって人気が高まりつつある。
ソニーのBlu-rayレコーダー製品と比べて全体的に価格が高めだが、製品自体が人気のため、2007年末の価格推移では、最安価格、平均価格ともに、一般的には見られないような価格の上昇傾向が見てとれる。
2007年末に3製品を一気に発表したソニーは、かなり戦略的な価格設定でBlu-rayレコーダーの普及に拍車をかけた。3モデルのラインアップは、もっともハイエンドな「BDZ-X90」でも18万円を下回る価格設定で、最廉価モデルの「BDZ-T50」に至っては10万円を切る。
それまでのBlu-rayレコーダーは、安くても20万円台というのが一般的な相場であっただけに、これらの廉価モデルの登場はユーザーから大いに歓迎されるものとなった。
ソニーの3モデルは、主に価格面でのアドバンテージを武器に、Blu-rayレコーダーの普及に拍車をかけている。コストパフォーマンスは非常に高く、製品自体の人気も高い。
全般的な価格トレンドとしては、ゆるやかな下落傾向にはあるが、年末年始での価格は終始安定しており、市場での人気の高さをうかがわせる結果となっている。
一方、HD DVD陣営では、ほぼ単独でプレーヤーおよびレコーダーを開発している東芝が、2007年夏に初のコンシューマー向け製品を2モデル発表した。さらに年末には、廉価モデルの「RD-A300」に「MPEG-4 AVC」規格の録画機能を搭載した後継機種「RD-A301」を投入し、機能的にはパナソニックのモデルと同等のDVDメディアへのハイビジョン録画が可能となった。
価格を見ると、昨年11月に登場したRD-A301の価格下落率は、同等のスペックを持つパナソニックのDIGA DMR-BW700に比べても大きい。初登場で13万6800円に設定されていた価格は、現在では9万円台前半となる場合もみられる。
Blu-rayレコーダーとしては最廉価となるソニーのBDZ-T50が、9万円を切るプライスをつけているが、こちらはすでに底値を打っていると見られ、RD-A301の価格が9万円を切ってBDZ-T50に並ぶ日もそう遠くないことが予見される。
HDD600Gバイトを搭載した上位モデル「RD-A600」の後継モデルは1月16日現在まだ発表されていないが、後継モデルの発売は近いと見られており、600Gバイトの大容量HDDを搭載するハイエンドモデルとしては格安とも言える8万円台のプライスをつけている。こちらの初登場の値段が22万8千円だったことを考えると、半年間で60%以上下落したことになる。Blu-rayレコーダーが年末好調な売れ行きを見せ、価格も安定していたのとは正反対ともいえる顕著な値崩れ状態だ。
今後の市場動向について、カカクコムでは以下のように分析する。
先日発表された米ワーナーのHD DVDからの撤退表明で、Blu-ray対HD DVDの次世代主力メディア争いは、一気にBlu-ray陣営に大きく傾いたように報道されており、しかも割安感の出始めた松下、ソニーのBlu-rayレコーダーが軒並み好調な売れ行きを示し、末端の販売価格でもさほど値下がりしていないのに対し、東芝のHD DVDレコーダーは対照的な値下がり傾向にある状況が見て取れる。
このブルーレイ優勢の流れはすでに昨年2007年末の段階から明らかになりつつあったが、今後この流れがさらに大きくなっていくことも予想される。
近いうちに発売されるといわれている東芝RD-A600の後継モデルの発売価格が大いに気になるところだが、市場状況を考えると、発売後すぐに松下の中位機種DIGA DMR-BW800やソニーの上位機種BDZ-X90の価格を下回る16〜17万円台くらいまで平均価格が下がり、最安価格では15万円を下回ってくることも予想される。
一方のBlu-rayレコーダーは、まだまだ需要が高い状態にあり、今年開催される北京五輪の需要も考え合わせると、春以降もさほどの値崩れは起こさず、ゆるやかに価格を下げていくものと思われる。
お詫び:記事中、ソニーのBlu-rayレコーダーにMPEG-4 AVC機能が採用されていないとの記述がございましたが、ソニーのBlu-rayレコーダー「BDZ-T50」「BDZ-T70」「BDZ-L70」「BDZ-X90」には、「MPEG4-AVC」採用の新開発「高精度ハイビジョンエンコーダー」が搭載されております。よって、該当部分を削除させていただきました。関係者の皆様にご迷惑をおかけし、また読者の皆様を混乱させたことを深くお詫び申し上げます。
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