韓国のゲームソフトパブリッシャー、ハンビットソフトは日本における新展開を開始するとともに、欧米を軸にした世界戦略を強化する。
同社会長で自ら日本戦略の指揮を執る金榮萬(キム・ヨンマン)氏は近く、日本法人の社長を退任。新社長を迎え、IPO(新規株式公開)を軸とした資金調達を行い、アジア展開を見据えたコンテンツ開発を強化していく方針だ。
退任する予定の金氏は韓国のテコ入れおよび欧米攻略に軸足を移す。特に、欧州攻略を重視しており、近く、欧州に3拠点目となる海外の現地法人を設立する。
金氏にハンビットソフトにおける世界戦略の現状と今後の展開を聞いた。
ハンビットソフトの世界戦略における重要な日本の現地法人、ハンビットユビキタスエンターテインメント(HUE)は戦略的なパートナーが欲しかった当社と、金融系以外の業界でのサーバシェア拡大、IDC事業の拡張、BtoC展開などをしたいと考えていた日立製作所との狙いが合致し、2004年12月に設立しました。
短期目標としては、親会社であるハンビットソフトのタイトルを投入し、日本でナンバー1のパブリッシャーになることです。中長期的には日本だけではなく、アジアにも進出できることを願っています。
わたしはハンビットソフト会長でありながらHUE社長を兼務してきたわけですが、この3年間で日本展開における基盤は構築できたと思っています。「グラナド・エスパダ」を収益の柱とし、2006年11月に単月ベースでの黒字化を実現。2007年に入ってからは安定して売り上げが上がっています。
世界戦略は現在、61カ国で展開しており、主なところには現地法人を作って対応していく方針を取っています。現段階で現地法人は米国と日本にあります。オンラインゲームはユーザーの声を聞き入れながら修正を重ねて進化させ続けることが可能ですから、重要な地域では現地法人の存在が欠かせません。
韓国のオンラインゲーム市場が飽和状態にあるという声はよく聞きますが、コアユーザーのプロフィールを見ると10代後半から30代前半の男性がほとんど。つまり、女性やローティーン、30歳以上に向けたゲームを出していけば、いくらでも市場の拡大は見込めるわけです。
実際、当社のゲームでも音楽ゲームやカジュアルゲームでは男女比が半々ですし、現状では「オンラインゲーム=MMORPG」という傾向が強いですが、教育関連や女性に好まれるもの、年配の方にも楽しんでもらえるゲームにも注力していくことで、こうした現状を変えていけると考えています。
ただ、そういう意味では韓国は可能性があるとはいえ市場が狭いので、海外展開の重要度は増しています。現在、2007年度で見ると国内と海外の収益比率は半々。海外比率は増える一方で、2008年は海外が60%くらいになるでしょう。将来的にこの比率は80〜90%くらいになるだろうと予測しています。
米国でも取締役として活動していますが、日本の社長をしているのは韓国に近いというのと、早くやりたい目標があったためです。ただ、今後は経営の専門家に日本はまかせて、わたしはハンビットソフトの世界戦略の方に力を入れていきたいと思っています。
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