シャープは12月4日、中国の携帯機器向け地上デジタル放送が受信できる超小型のチューナーモジュールを開発したと発表した。中国や台湾の電機メーカーなどを対象に08年1月下旬からサンプル出荷を開始する。サンプル価格は3万円。
開発したモジュールは、薄型テレビやセットトップボックスで採用されている「CANタイプ」と呼ばれるチューナーに比べ100分の1以下の縦10.7×横 10.7mm、厚さ1.4mmの超小型サイズが特徴。シャープでは、ノートPCやポータブルDVDプレーヤー、PDA、カーナビなどでの利用を見込む。
チューナー部は新規開発で、自社のLSI製造技術を応用することで回路を小型化すると同時に、日本のワンセグ用チューナーモジュールで開発した回路を半導体に直接に付けて集積密度を高める技術を利用。チューナー部やOFDM(地上デジタル放送のデジタル変調方式)回路などを高密度で基板に集約することで、超小型モジュールに仕上げた。チューナー部とOFDM回路の組み合わせを最適化することで、連続動作時で530mWの低消費電力も実現した。
中国では、北京や上海、広州などで地上デジタル放送の試験放送が始まっており、北京オリンピックが開催される08年から全土で順次、本放送がスタートする予定。また、中国の携帯機器向け地上デジタル放送は、日本の地上アナログ放送画質とハイビジョン画質で送信可能で、開発したモジュールは超小型サイズながら、ハイビジョン放送の受信もできる。
シャープでは、オリンピックに先立ってモジュールを出荷、量産体制を敷くことで、オリンピックを機に、テレビやモバイル機器などの地デジを受信できる機器の需要が高まると見込まれている中国市場で、チューナーモジュールのシェア拡大を図りたい狙い。08年3月末には量産体制も確立する計画。加えて、携帯電話向けには「より低消費電力化が必要」(江川龍太郎・電子部品事業本部高周波デバイス事業部事業部長)なことから、回路をさらに微細化したモジュールの開発を進める。
今後は、中国や台湾をはじめ、韓国の電機メーカーとの競争も予想されるが、江川事業部長は「車載やパソコン向けチューナーでは当社のチューナーは非常に小型で十分に強みがある。また、回路も自社で開発しており、コスト競争力もある」と述べ、自信を見せた。
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