情報処理推進機構(IPA)は9月6日、「情報処理技術者試験 新試験制度の手 引き−高度IT人材への道標(みちしるべ)−」を公表した。受験者数の減少傾 向が続く情報処理技術者試験の抜本的改正に向けた検討の中間報告で、新しい 試験制度案をまとめたもの。
情報処理技術者試験は1969年にスタート。現在では合計14の試験を実施して いるが、受験者数は02年度の80万3109人をピークに06年度では60万8210人まで 減少している。こうした傾向に危機感を持った経済産業省は、06年10月に産業 構造審議会情報サービス・ソフトウェア小委員会の中に人材育成ワーキンググ ループを設置。以来検討を加えてきたが、今年7月に「高度IT人材の育成を目 指して」と題した報告書をまとめ、公表した。
この中で、高度IT人材の具体像(キャリアとスキル)の可視化、共有化が必 要として、(1)目指すべき高度IT人材像を基本戦略系、ソリューション系、ク リエーション系に区分し、必要なスキルを明確化、(2)人材キャリアを7段階に 区分し、ミドルレベル(3段階)までは、情報処理技術者試験の合否によりレ ベルを判定する――などの方針を打ち出していた。
今回の新試験制度案はこれを踏まえたもので、(1)共通キャリア・スキルフ レームワークのレベル1から3までは新試験の合否でレベルを判定、レベル4は 新試験と業務経験で判定することにし、各人材スキル標準におけるレベル判定 の尺度として用いる、(2)広く職業人一般に求められる基礎的な知識を問うエ ントリ試験「ITパスポート試験」を創設、(3)現行試験では分けているベンダー 側試験とユーザ側試験を一体化――などを盛り込んだ。
新試験は、レベル1がエントリ試験(ITパスポート試験)、レベル2が基本情 報技術者試験(FE)、レベル3が応用技術者試験(AI)になる。レベル4の高度 試験はITストラテジスト試験(現行のベンダー向けのシステムアナリスト試験 とユーザ向けの上級システムアドミニストレータ試験を統合、略称ST)、シス テムアーキテクト試験(SA)、プロジェクトマネージャ試験(PM)、ネットワー クプロフェッショナル試験(NP)、データベースプロフェッショナル試験(DP) 、組み込みプロフェッショナル試験(EP)、情報セキュリティプロフェッショ ナル試験(現行の情報セキュリティと情報セキュリティアドミニストレータ試 験を統合、SP)、ITサービスマネージャ試験(SM)、システム監査プロフェッ ショナル試験(AP)の9試験。
新試験の実施時期は、「エントリ試験」を08年度秋期、その他は09年度春期 からを予定している。
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