NTTとKDDIの収益力格差が広がっている。2007年4〜6月期の本業の収益力を示す「売上高営業利益率」はNTTが11・5%だったの対し、KDDIが16・6%と圧倒。KDDIは07年3月期末の0・1ポイント差から一気に5・1ポイントまで広げた。携帯電話事業の好調でNTTを出し抜いた格好だ。ただ先行きは携帯電話基本使用料の「値引き合戦」の加速も予想され、基礎体力に勝るNTTが再び逆転する可能性もある。
4〜6月期の携帯事業の営業利益は、NTTグループが約690億円の減益要因を生む一方、KDDIは逆に220億円の増益効果を生んだ。
NTTは、番号継続制以降の販売苦戦を補うため、ドコモが販売経費を費やしたのが響き減益。半面、auのKDDIは経費を増やさず契約増を確保したのが寄与した。
KDDIは携帯事業の増益で、固定通信事業の128億円の赤字を打ち消し会社全体としては前年同期比15・6%増の1409億円の営業利益をたたき出した。一方、NTTは、コミュニケーションズ、データ、西日本で増益を確保したが、ドコモの減益を吸収しきれず16・7%減の2992億円に低迷した。
4〜6月期はKDDIが営業利益の伸び幅、利益率とも圧勝したが、両陣営とも先行きには暗雲が漂う。携帯事業の値下げ競争が加速する可能性をはらんでいるからだ。
9月から基本使用料を契約時から半額に値引きするサービスをKDDIが発表し、ドコモも追随。これにより、期初の業績予想には織り込み済みというが、ドコモで08年3月期に400億円、KDDIは200億円の減益要因が生じる。
NTTの三浦惺社長、KDDIの小野寺正社長兼会長とも「これ以上の値引き競争にはなる可能性は小さい」と、互いに利益を食いつぶす値下げを牽制(けんせい)しあっている。
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