ラスベガス発--Hacker FactorのNeal Krawetz氏が米国時間7月31日、当地で開催のBlack Hatカンファレンスのプレゼンテーションで、画像に施された基本的な処理をデジタル分析で明らかにする方法を紹介した。
分析に利用した具体的な技術を紹介した後、Krawetz氏は、自身が「Dr. Z」の事例と呼んでいる件について話しを移した。このDr. Zとは、al-Qaidaのナンバー2となったAyman al-Zawahiri氏。
利用したのは2006年12月20日にUSA Todayが掲載した画像で、al-Zawahiri氏が大きな旗の前に腰掛けているように見える。旗の下には机が写っており、机の上は小型機関砲が置かれている。記事中においてal-Zawahiri氏は、「無地茶色の背景に立てかけたライフルが同氏の肩越しに見える位置」に座っていると表現されている。
Krawetz氏は、プレゼンテーションの前半で説明した技術を利用して画像を分解し、al-Zawahiri氏の画像の周囲に縁取りが見られることを示した。このことから、al-Zawahiri氏が単色スクリーンの前に座っていたらしいことが分かる。旗の文字も変更されていた。さらに、画像全体が元となる写真から切り出されたものであった。
Krawetz氏は、al-Zawahiri氏がテレビスタジオのような部屋で腰掛けている2006年7月27日のビデオを次に紹介した。米国政府がal-Zawahiri氏をいまだに発見できずにいるのに、同氏はどこかのテレビスタジオで腰掛けていられる、とビデオを見た人の多くが憤慨するだろうとKrawetz氏は述べた。
画像分析の結果、スタジオやスタジオ内部の画像は後から付け足されたものであることが示された。この例でも、al-Zawahiri氏の周囲の縁取りが、単色のスクリーンを背景に撮影された同氏の映像が後で別の背景に貼り付けられたことを示している。
背景のスタジオは、少なくとも5つ要素から構成されている。Mohammad Alef氏の画像は、結婚式のビデオから切り出したものである。ツインタワーの画像とMohammad Atta氏の画像はいずれも、911委員会の報告書から抜粋されたものである。一方、スタジオ自体は作り物のようである。たとえば、照明のあたり具合から、壁がal-Zawahiri氏の30cm後ろにあるとは考えにくい。
Krawetz氏は、国境を越えてテロリストを追跡する団体SITE Instituteからの画像も見つけている。SITEは国際テロ組織の捜査(Search for International Terrorist Entities)の略である。同画像は、al-Qaidaによる発表の前に取り押さえられている。
SITEのビデオでは、al-Zawahiri氏は黒塗りの背景を背にしているように見える。右上の隅に、壁かスクリーンの切れ目らしきものが見える。Krawetz氏はコントラストの調整により、al-Zawahiri氏の背後にある壁が布に覆われていることを発見した。Krawetz氏はal-Qaidaによる最終的な映像を紹介しなかったが、al-Zawahiri氏の本当の居場所をごまかすための映像と何らかのメッセージを発信するための映像を盛り込んだものなのだろう。Krawetz氏が最後に紹介した画像も同様だった。
別のal-QaidaメンバーAzzam al-Almriki氏の画像には、コンピュータが置かれたオフィスに座る若い男性が積み上げられた本と写っている。画像分析の結果、本は後から付け足されたことが示された。非常に奇妙だが、何らかの意図を伝えるために盛り込まれたに違いない。
Krawetz氏は説明全体を通して、al-Qaidaによる画像編集の背後にある理由について考察しなかった。同氏の興味は、画像が編集されているという事実と具体的な変更点を明らかにできるという点のみにある。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。 海外CNET Networksの記事へ
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