書籍販売元やスパマーやハッカーにわずらわされる確率が減るならば、オンラインで購入したその本にもう少し支払っても構わないだろうか?
米国時間6月7日に「2007 Workshop on the Economics of Information Security」において発表された論文(PDFファイル)によると、消費者は自分の個人情報を保護するためならばオンライン購入商品にもう少し支払ってもよいと思っていると、カーネギーメロン大学の研究者らは確信している。
Carnegie Mellon Usable Privacy and Security Lab(CUPS)は、検索エンジン「PrivacyFinder.org」を用いた調査を実施した。調査は18〜71歳のモニターにお金を与え、指示された商品をオンラインで購入してもらうというもので、CUPSはこれに参加した18歳から71歳までの人々の動向をモニターした。
CUPSが開発した検索エンジンPrivacyFinder.orgは、World Wide Web Consortiumによって開発された「Platform for Privacy Preferences」を基準としてウェブサイトのプライバシーポリシーを評価するものである。同エンジンは検索結果とともに、そのサイトの評価を表示する。
研究者らによると、人々はプライバシー保護のためならば15ドル以上の商品1件につき約60セントを支払っても構わないと思っているという。参加者たちが購入するように指示された商品の1つには性具であった。これは他人に購入を知られたくはないと思うような商品である。また参加者らは、安い商品を選択してお金が残った場合は返さなくてもよいと指示されていた。
CUPSのディレクターであるLorrie Cranor氏は、「人々はプライバシーにあまり関心がないという研究結果が今まで非常に多かった」と述べた。「これまで、人々はプライバシーを犠牲にしてもとにかく価格が抑えられたほうがよいと思っているとされていた」と同氏は付け加えた。
同氏は、「本当は人々がプライバシーを重視しており、その保護のためにならお金を支払ってもよいと思っているというわれわれの仮説を、立証した」と述べた。
Cranor氏とその研究者らは、小売業者側に調査を知らせていなかったため、セキュリティの高い商品と低い商品の価格差を考慮した調査をできなかった。次回はベンダーらが研究者らと提携して、具体的な価格の差を考慮し、消費者の支払い意欲に関するより詳細な情報を明らかにする予定である。
Cranor氏の研究報告は、VeriSignなどの企業にとっては朗報である。同社は2006年12月、「EV(Extended Validation) SSL証明書」を持つウェブサイトを表示する場合にブラウザのアドレスバーの色を変えるツールをMicrosoftと共同で発表した。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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