Adobe Systemsがグラフィック描画ソフトウェアであるFreeHandの開発終了を公式に宣言した。Adobeはユーザーに対して自社の競合製品であるIllustratorへの乗り換えを促している。
AdobeのPhotoshopソフトウェア担当シニア製品マネージャーであるJohn Nack氏は米国時間5月16日付けの自身のブログにおいて「紆余曲折の末に、Adobe(いや、AltsysやAldusの時代もあったし、Macromediaの時代もあった)のFreeHandの開発は終了することになった」、そして「Adobeは新機能を搭載した新しいバージョンのFreeHandを開発したりリリースしたりする予定はない。また、新しいOSやハードウェアに対応するためのパッチやアップデートを配布する予定もない」と述べている。
これが意味する重要なことは、Adobeのこの動きに関するFAQ(PDFファイル)にも書かれているように、Windows VistaやIntelベースのMacに対応するバージョンは開発されないということだ。
Macromediaが最後のバージョンとなるFreeHand MXをリリースしたのは2003年だった。Adobeが自社のIllustrator製品や、同製品とCreative Suite中の他のソフトウェアとの統合に力を入れていたことからして、2005年のMacromedia買収後のFreeHandの運命は明らかだった。
AdobeはIllustrator CS3へのアップグレードを奨励している。登録ユーザーは、599ドルという通常価格の約3分の1の価格である199ドルでアップグレードできる。
FreeHandには、長い歴史がある。Ian Kelleigh氏のFreeHand Sourceというウェブサイトによれば、FreeHandの最初のバージョンは1988年にリリースされた。同バージョンは429Kバイトのアプリケーションで、実行に要するメモリは750Kバイトだった。これに対して、バージョン11である FreeHand MXは10.3Mバイトのアプリケーションで、必要なメモリは131Mバイトだった。
Adobeは、FreeHandユーザーのIllustratorへの乗り換えを容易にするべく取り組んでいる。FAQによれば、「Illustrator CS3には、FreeHand 10とFreeHand MXのファイルを直接インポートする機能が備えられており、同機能の信頼性は従来のバージョンのものよりも高くなっている」という。
AdobeのVistaへのサポートは、同社の最新製品でも迅速なものではなかった。しかし、同社は5月14日、Microsoftの最新OSであるWindows Vistaで使用するPostScriptプリンタ用の新しいドライバの開発を明らかにした。同社は、顧客にソフトウェアを提供できるプリンタメーカーに対してこのドライバを7月にリリースできるだろうと述べている。
Windows VistaにはPostScriptドライバが含まれているものの、Adobeによれば同社は「Windowsに搭載されている標準のPostScriptドライバを用いる場合と比べて、同じOfficeファイルを印刷する場合でも、透明感となめらかな階調を実現したより高品質の結果をもたらすことができる」という。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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