Sun Microsystemsが数年前に停止した活動を再開させ、「SPARC」プロセッサを販売する新たな部署を立ち上げた。
Sunは米国時間3月22日、SPARC事業の前責任者で、今はストレージ部門のエグゼクティブバイスプレジデントを務めているDavid Yen氏が新部門を統括し、同時にエグゼクティブバイスプレジデント職に留まることを発表した。ストレージ部門の新しいエグゼクティブバイスプレジデントには、Sunが2005年にStorage Technologyを買収した際にSunへ移り、エンジニアリング部門のバイスプレジデントとなっていたJon Benson氏が就任する。
カリフォルニア州サンタクララに拠点を置くSunは折から組織再編を進めており、今回の動きはそうした取り組みの最新の例となる。1990年代には、Sun Microelectronics部門がSunのチップをSun自身と同チップ搭載サーバを開発している他社に販売していたが、同事業は次第に縮小され、SunがSPARCチップの唯一の顧客となっていた。
今回の体制変更は、競合社の製品とSunの技術が併用されることを好意的にとらえる同社最高経営責任者(CEO)Jonathan Schwartz氏の方針に沿ったものだ。例えばSunは、自社マシンではなく、競合サーバ向けに「Solaris」OSを販売した場合に高額な報奨金を出すことがしばしばあり、自社サーバも積極的に他社OSに対応させてきた。
Schwartz氏は声明の中で、「Sunの革新的な技術は、われわれのサーバやストレージ製品以外にとっても価値と魅力がある。ソフトウェアと同様に、SunのシリコンチップとSunのシステムの強い依存関係をなくすことで、われわれの国際的な立場は向上し、ビジネスチャンスも大きくなるだろう」と述べている。
Sunは、同社が何らかのアドバンテージを社内から受けているとう印象を外部バイヤーに与えたくないという意図もあり、SPARC部門を個別に立ち上げることにしたと話している。
ドットコムバブル崩壊後、数年にわたり財政難に苦しんでいたSunだが、最近では再び売り上げが伸び、利益性も高まった。とはいえ、IBMやHewlett-Packardなどの手強いサーバ分野競合各社との戦いはいまだ厳しく、Sunが最適な組織体制および戦略について模索を続けている様子が、22日の発表からもうかがえる。
旧SPARC部門は、Sunが同チップの社外提供を止めた後も、数年間は独立して運営されていた。だが2004年、最高執行責任者(COO)に就いたばかりのSchwartz氏が、同部門をYen氏率いるSPARCサーバ部門に併合し、同氏を全体の責任者に任命した。CEO就任後Schwartz氏は、全サーバ部門をJohn Fowler氏の管轄下に置き、Yen氏をストレージ部門に異動させた。Fowler氏は、先にx86サーバ事業の責任者を務めていた人物だ。
Sunが再び増収に転じた理由の一端は、「UltraSPARC IV+」システムの予想を超える売れ行きにある。「UltraSPARC T1(Niagara)」プロセッサを搭載した新製品は、今も同社の売り上げの大きな柱である。Sunは、「Niagara 2」システムを2007年後半に、「Rock」チップを利用したハイエンドな姉妹品を2008年後半にリリースする予定だ。
Sunのチップは、Texas Instrumentsが製造している。富士通も独自のSunチップを設計および開発しており、2007年前半中には、「Advanced Product Line」と呼ばれる次世代サーバの販売をSunと共同で始めるという。
また、今回の変更に伴い、新しい「Sun Fire X4500(Thumper)」システムの担当が、ストレージグループからサーバグループに変更された。同システムは、デュアルのAMD Athlonプロセッサを24テラバイトのストレージと組み合わせ、コンパクトな筐体におさめている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。 海外CNET Networksの記事へ
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