14年間にわたって世界最強のサーバの性能を測定するベンチマークに用いられてきた、コンピュータシステムの性能評価法「TPC-C」が、新しいベンチマークに取って代わられようとしている。
業界団体Transaction Processing Performance Council(TPC)は2005年、新たな速度評価テスト「TPC-E」を承認した。TPC-Eでは、もっと容易に測定が行えるうえ、低コストでの運用が可能で、現代のデータベースサーバの使われ方をよりよく反映するよう設計されている。コンピュータメーカーがガイドラインを理解して順守していることを確認する監査人の教育が完了すれば、2007年夏にも同テストを採用した最初の評価試験結果が出る予定だ。
TPC-Eは、株式のトレーダーやブローカーと株式市場の相互作用の形をベースにして設計されている。情報は33の個々に独立したデータベーステーブルに格納されているが、ある領域に加えられた変更がしばしば他の領域の変更を誘発する。これに対して、TPC-Cがベースにしているのは倉庫内の在庫管理の形式で、9つのテーブルに格納した、もっと単純なデータおよび処理を扱う。
コンピュータのパフォーマンスをすべての面で測定できるベンチマークのようなものはない。それでもベンチマークは、さまざまな企業の製品を比較する際に役立つ。TPC-Cはこの目的で広く利用されたが、サーバもデータベースも、TPC-Cが初めて導入された1992年7月から大きく変わっている。
「TPC-Cは終わりを迎えようとしている。新しいベンチマーク導入のときが到来した」と語るのは、TPC-E公開の取り組みを率いてきたAndreas Hotea氏だ。TPCアドミニストレーターのMichael Majdalany氏によると、TPCは5年の歳月をかけてTPC-Eを開発してきたという。TPCには主要なサーバおよびデータベース企業がすべて加盟している。
TPC-Cにおける問題の1つは、好成績をマークするにはきわめて大容量のストレージを必要とする点だ。それも単に容量が大きいだけでなく、ハードディスクの数が非常に多くなければならない。Majdalany氏によると、IBMおよびHewlett-Packard(HP)がTPC-Cで非常に優秀な成績をマークしたシステムは、いずれも7000台以上のハードディスクを使用していたという。これに対してTPC-Eでは、たぶんその10分の1の容量でいいはずだと同氏は説明する。
また、TPC-Cテストは実施するのに400万ドルかかるのが通例だった、とHotea氏は語る。これは主にハードウェアにかかるコストだ。2006年に行ったTPC-Cテストで1分あたり403万トランザクションという記録を出して、現在TPC-Cのランキングで第2位にあるIBMのマシンの場合、費用は1200万ドルかかったという。また、1分あたり409万トランザクションを記録して現在第1位のHPのマシンも、やはり1200万ドルかかっている。
TPC-Cは「資金豊富な企業でなければ実施できない」と、Majdalany氏は語る。
TPC-Eのテストは、ハードウェア面の要求水準が比較的穏当で、しかもTPCがソフトウェアのソースコードを提供するため、テストを受ける企業が自社でソースコードを用意する必要がなく、コストがTPC-Cより抑えられる、とHotea氏は述べた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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