「ブルードラゴン」「Fable 2」「Mass Effect」の3つは、スタイルも設定も完成度も群を抜いて素晴らしい作品であると同時に、いずれもロールプレイングゲーム(RPG)と呼ばれるジャンルに入るものだ。米国時間3月6日、Microsoftは、これらのゲームの開発にかかわった人たち--ミストウォーカーの坂口博信氏、Lionhead StudiosのPeter Molyneux氏、BioWareのRay Muzyka氏--を一堂に集めて、ビデオゲームを扱うテレビ番組「Game Head」のホストで知られるGeoff Keighley氏を司会役に、「RPG開発の進化(The Evolution of RPG Development)」と題して40分間のパネルディスカッションを開催した。
RPGとその他のジャンルのゲームとの境界線が曖昧になっていることを受け、Keighley氏は各パネリストに対して、あるゲームがRPGと呼ばれるようになる決め手は何かと問いかけた。Muzyka氏は、BioWareではRPGへのアプローチとして、優れたストーリーとキャラクターの設定、未知の世界の探索と畏怖の感覚、プレーヤーを夢中にさせるキャラクターの進歩、恐怖心のような感情を喚起する戦闘という4つの柱を据え、これらすべてが、それぞれに絡み合うようにしていると語った。
ディスカッションでは、パネリスト同士がお互いを賞賛し合う場面が数多く見られた。たとえばMolyneux氏は、Muzyka氏の発言にことごとく同意し、「完全に、100%正しい」と付け加えた。しかし、Molyneux氏によるRPGの定義は、ゲームがどのような機構になっているかということよりも、ゲームの雰囲気を重視するものだった。
「私の場合は、いつもたった1つの簡単なフレーズに戻ってくることになる。つまり『役割を演じるゲーム』ということだ」と、Molyneux氏は述べた。「プレーヤーは役割を演じる。私が実験したいことを一言で表すなら、『ヒーローになったらどんな気分だろう?』ということだ。何者でもないところからスタートして、最後に英雄になって終わったら?プレーヤーはそうした心の旅を体験するわけで、それこそが私が真に焦点をあわせるところだ」
坂口氏は通訳を介して、RPGで自分が達成しようとしているのは、「壮大なストーリーを語り、プレーヤーが心を通わせられるキャラクターと世界観(を提供すること)」だと話した。坂口氏はさらにRPGの重要な要素として、探検の感覚と達成感を挙げた。
3人の開発者はそろって、ゲームが1つのストーリーを語ること、そしてプレーヤーと感情的な接点を作ることを第1の目標にあげたが、その目標に到達するためのアプローチは、いくつもの重要な分野において異なっている。坂口氏の「ブルードラゴン」はターン型の戦闘を行う従来の日本的RPGだが、現在取り組んでいる他プロジェクト(「Xbox 360」向け「Cry On(クライオン)」や2つの未発表RPG作品など)は「新しく異なったアイデアをもとに」していると語っており、今後はターン型以外の分野に進む意向を示唆した。
Molyneux氏は、Lionheadが「Fable」でリアルタイム型戦闘に注力したのは、より没頭できる体験を追及できると感じたためにほかならないと語った。一方Muzyka氏は、「Mass Effect」とそれ以前のBioWare制作のゲームタイトルについて、個々のプレーヤーの好みに合わせるため、ターン型とリアルタイム型の戦闘を柔軟に組み合わせていると語った。
この話題に続き、Keighley氏は、キャラクターのカスタマイズを可能にすること、およびゲーム体験をプレーヤーがコントロールできるようにすることについて、将来的にどういう見通しを持っているかを3人の開発者に尋ねた。坂口氏はそうしたカスタマイズが楽しいことを認め、この傾向が継続すると考えているとしながらも、自分自身のゲームに使うことには興味を示さなかった。映画はキャラクターと物語が確固とした形であるからこそ、優れたストーリーを語り制作者の世界観を明確に反映できるのだと、坂口氏は語った。
Molyneux氏とMuzyka氏はどちらも、プレーヤーによるカスタマイズとゲーマーごとに個別に進化するキャラクターという考え方に好意的だったが、ストーリーラインが分岐するという考え方に関しては意見が分かれた。Molyneux氏は、考え方はよいとしながらも、ゲームを進める中で選んだ道筋が間違った選択だったのではないとか、何かを見逃したのではないかというように、プレーヤーにいつも不安を抱かせる危険性がないかとかなり懸念していると語った。これに対してMuzyka氏は、ゲームを進める中で2人のプレーヤーが複数の異なった道筋をたどるのはよいことだと語った。プレーヤーは各自の選択が実際にゲームに影響している感覚を持てるし、そのゲームを繰り返しプレーする楽しさが生まれるというわけだ。
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