ワシントン州レドモンド発--Microsoftの「TechFest」で公開されているプロジェクトの多くは、市場に提供されることはないであろう研究概念にすぎないが、そのうち数件は無償で一般に提供されている。
Microsoft本社で米国時間3月8日まで開催される社内サイエンスフェアTechFestの目的は、社内の製品チームに同社研究部門の取り組みを紹介し、できればそれらのうちのいくつかを製品化へと導くことである。しかしその一部に関しては、社外の人々でもすぐにMicrosoft研究所の最新成果を利用することができる。
無償で一般に提供されるプロジェクトの1つである「HD View」は、非常に巨大な画像をウェブ上で容易に表示する。まず、HD Viewは、膨大なピクセル数からなる画像全体を小さく表示する。ユーザーは自分のコンピュータ上に画像全体が存在するかのように、拡大やスクロールができる。しかし実際に一度にダウンロードされるのは百万ピクセルほどである。
これは、「Zoomify」という既存の製品に似ている。Microsoftによると、その主な違いは、HD Viewの画像はさまざまな視点と解像度で表示することができるという点である。例えば、ユーザーは拡大した後、単に2次元の画像をスクロールするだけでなく、上方や下方へと視点を変えることができる。
この技術をデモした研究者のMichael Cohen氏は6日、「これはただ普通のことを実行しているだけだ」と述べた。Microsoftのウェブサイトでは、複数の巨大な画像を使用して同技術を紹介しているが、同社はユーザーがウェブサイト上で自分の画像に対して使用できるように、ダウンロード可能なコードを提供している。Cohen氏は、同技術は今日の市販のカメラで作成される8メガピクセルの画像にも利用可能であると述べた。
近くのブースでは研究者Jeremy Elson氏が「Asirra」と呼ばれるツールを披露していた。ウェブサイトによっては閲覧者が人間であることを確認するため、読みづらいゆがんだテキストを表示し、解読するよう指示する場合がある。Asirraは、このテキストの代替となるツールだ。ここでの問題点は、コンピュータでもゆがんだテキストをデコードできるようになってきているということであった。
そこでMicrosoftの研究者らは、よりよい方法を考案しようと考えた。彼らの手法は、写真に写っているものを識別するのはコンピュータにはまだかなり困難であるという事実をベースとしている。例えば、コンピュータは、60%以上の割合で写真に写っているものが犬なのか猫なのかを判定することができない。
しかし実際にさまざまな場合に対応できる手法として実現するためには、Microsoftには膨大な数の猫や犬の写真が必要であった。そこでJohn Douceur氏は、ペットの飼い主を探すことを支援するサイトPetFinder.comと提携することを思いついた。そのサイト上の写真へのアクセスを得る代償として、Microsoftは「adopt me(飼い主になってください)」リンクを付加し、ユーザーがマウスを1回クリックすれば、飼い主を募集している猫や犬にアクセスできるようにした。
研究者らは間違いなく7日と8日に同プロジェクトをMSN関係者に持ちかけるだろうが、同ツールはどのウェブサイトでも利用可能である。GoogleやYahooさえも理論的には同技術を採用できることになる。
またAsirraのブースでは、TechFestへの入場者に対して次のように注意していた。
Microsoft Conference Centerの入り口のメッセージには 「TechFest 2007のデモブースの1つには、本物の猫が2匹います。猫のふけによりぜんそく、またはアレルギー反応を起こす可能性のある人は、ご注意ください」と書かれていた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。 海外CNET Networksの記事へ
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