シリアスゲームは、ゲーム業界がファンと注目度を拡大し、ゲームという新しいメディアが幅広い支持を得るための足がかりになるかもしれない--スクウェア・エニックスのチーフストラテジスト乙部一郎氏はそう考えている。
米国時間3月5日午前、「Serious Games Summit GDC 2007」の基調講演の中で乙部氏は、業界はいま岐路に立っており、今後数年間のリリースは、ゲーム業界の市場浸透度を決定づける重要なものになるだろうという考えを示した。
会場いっぱいの聴衆に乙部氏は、「すべてのニューメディアが主流になるわけではない。市場規模を確保してはいても、現在の中心的なゲーム市場の枠を越えてコンテンツの範囲を拡大できなければ、ゲームは特定産業に的を絞ったメディアコンテンツにしかならないだろう」と話した。
スクウェア・エニックスはすでに、1946年設立の教育を中心とした出版社である学習研究社(学研)と業務提携を行っている。これについて乙部氏は、「日本では、マンガが主流に昇りつめている。たとえば学研の『ひみつシリーズ』(さまざまなテーマで『ひみつ』を説明する教育マンガ)は2000万部以上を売り上げており、こうした活動を通じてマンガは主流メディアになった」と説明した。
スクウェア・エニックスはシリアスゲームの開発で学研と業務提携し、同じような手法をとると乙部氏は述べた。マンガは単なる特定メディアではないとの認識を一般化するのに役立ったものは、ゲームにおいても同様の効果を発揮するだろうと同氏は期待している。スクウェア・エニックスは現在、ファッション雑誌など「多数の」法人顧客と協力して、それぞれの顧客層をターゲットにしたコンテンツを開発している。
乙部氏は、詳細を明らかにしなかったが、スクウェア・エニックスでシリアスゲームのプロジェクトが2つ進行中であることを認めた。1つはSGラボで、これは学研との業務提携による新会社だ。もう1つの「Project GB」(GBはGame Brainの略)は、スクウェア・エニックス社内のシリアスゲームプロジェクトで、ゲーム開発のスキルを学べる「ニンテンドーDS」向けゲームを開発している。
2月に始まったProject GBでは、まだ名称の決まっていないゲームが、約6カ月の期間を経て完成することになっている。しかし、完成したこのゲームが一般発売されるかどうかはまだ決まっていないという。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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