さまざまな大問題を解決して巨額の利益を得ているIBMが、今度は地球の環境問題に目を向けている。
コンピューティングおよびコンサルティング大手のIBMは、いわゆる「グリーンドル」をターゲットにしたビジネスの構築を進めている。グリーンドルとは、企業が天然資源の保全と無駄の削減を目指して投じる資金を指す。
Big Green Innovationsと呼ばれるこのプログラムは、企業が供給プロセスにおける炭酸ガス放出を削減する際に役立つ「炭素ダッシュボード」の開発から、エネルギー効率の優れたデータセンターやより強力な太陽電池の設計に至るまで、さまざまなものをターゲットにしている。
最近、IBMは環境保護企業としての一面を強化しつつあり、同社がグリーン(クリーン)技術を追求するのもそうした面を反映している。大手のエネルギー供給企業から有望な新興企業に至るまで、多くの企業が、天然資源を保全し、汚染を軽減する製品に投資している。
General Electric(GE)などそのほかの大手企業と同様、IBMが「大規模な環境保護」を推進する目的は、良き企業市民になるためではなく、あくまで新たな収入源を模索するためだ。
IBMのBig Green Innovations事業開発担当バイスプレジデントであるSharon Nunes氏は、「(環境ビジネスの)現在の市場規模を明確に示すことはできないが、全体的な見地から見て、巨大なビジネスチャンスであることは間違いない」とし、さらに「われわれが、解決すべき問題の全てを本当に分かっているとは思えない」と付け加えた。
Big Green Innovationsは、Innovation Jamと呼ばれるIBMの全社的なオンラインブレーンストーミングセッションの中で考案された。Innovation Jamは、2006年に2、3日間の日程で開催された。
全業界の企業が何らかの形で環境問題に取り組む必要があるため、IBMのBig Green Innovations事業は、同社のライフサイエンスプログラムよりも大きな事業になるとNunes氏は予測する。同氏は1997年に、IBMのライフサイエンスプログラムの立ち上げに携わった。同プログラムは、その後3年以内に10億ドル規模のビジネスに成長した。
IBMには、1970年代から環境問題に取り組んできた長年の実績がある、と語るのは、調査会社AMR Researchの環境保全技術担当バイスプレジデントであるJohn Davies氏。IBMは、炭酸ガス排出量の測定や包装廃棄物の削減など、さまざまな取り組みを社内で実践してきた。その取り組みをコンサルティングサービスに変えることは、同社にとっては当然のことだ、と同氏は指摘する。
Davies氏は「人々は炭酸ガス(排出量の)測定方法やエネルギー使用量の削減方法を理解する必要がある。なぜなら、IBMはすでに社内で大変素晴らしい取り組みを実践してきたからだ」と述べ、さらに「私はこれまで、現場での環境問題への取り組み方に重点を置いたサービスを提供している人々はあまり見たことがない」と付け加えた。
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