NASAのシステム侵入事件--米国への身柄引き渡しの上訴審始まる

文:Colin Barker(CNET News.com) 翻訳校正:中村智恵子、小林理子2007年02月15日 19時58分

 NASAのコンピュータに侵入し損害を与えたとして起訴されている英国人Gary McKinnon被告の米国への身柄引き渡しに対する上訴審がはじまった。

 McKinnon被告の弁護人Edmund Lawson氏は、米国で反テロリズム法が適用され有罪判決を受ければ、McKinnon被告は最長で60年間収監される可能性があるとロンドンの高等裁判所での審問で述べた。上訴審は現地時間2月13日に始まっている。

 McKinnon被告は2001年から2002年に、米政府機関の97台のコンピュータに不正アクセスし、70万ドル相当の損害を与えた容疑に問われている。CNET News.comの姉妹サイトZDNet UKの取材に対してMcKinnon被告は、地球外生物の証拠を探してコンピュータにアクセスしたことは認めたが、故意に損害を与えた点については否認していた。

 2006年5月、英国の下級判事裁判所は米国での裁きにしたがうためにMcKinnon被告の身柄引き渡しを命じる判決を下した。

 Lawson弁護人は、もしもMcKinnon被告が身柄引き渡しを受け入れれば刑期を短縮するという取引を米司法当局から持ちかけられていたことを明らかにした。McKinnon被告側はこれを拒否しており、McKinnon被告に対する「不当な働きかけ」にあたるとLawson氏は語っている。

 米司法当局の代理人Max Summers氏は法廷に対して、米国として直ちにこれを論ずることはできないので、詳細を検討するために休廷を求めたいと述べた。

 高等裁判所における上訴審は14日午後に休廷となり、判事団はこの新しい証拠を考慮すべきかどうか慎重に審議することになった。

 身柄引き渡しに対する上訴の過程で、McKinnon被告は不調を訴えていた。McKinnon被告に近い関係者によると、同被告は14日には心臓の動悸に悩まされていたという。「この審理の何もかもが同被告にとって耐えがたいものになっている」と、ある友人はZDNet UKに語った。

 同被告が上訴審で敗れた場合、欧州人権裁判所に上訴できる可能性はあるが、高等裁判所によって阻止されることも考えられる。

この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

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