Bush米大統領は米国時間2月5日、総額2兆9000億ドルの2008年度(2007年10月〜2008年9月)の予算教書を明らかにした。その中で大統領は、テロ対策の監視、スクリーニング計画費用の増額とともに、一部の科学研究費の引き上げを求めた。
2008年度予算教書では、イラクとアフガニスタンにおける戦費を増額する一方で、2012年までの財政赤字解消を目指している。つまり、米国内政府機関のいわゆる「義務的」経費を抑制する意向だ。例えば、政府のメディケア(高齢者向け医療保険制度)、メディケイド(低所得者、身障者を対象とする医療扶助制度)、および社会保障プログラムの費用の「増加分」は960億ドル削減されている。
Bush大統領は予算教書に添えられた声明の中で、「均衡予算の実現に向けた私の方策は、米国の歴史のこの重要な時期において優先すべき事項を反映している。その優先事項とは、本土防衛とテロとの戦い、税金を低く抑えながら経済の好調を維持する、連邦政府プログラムの有効性の向上を図りつつ支出は抑制することだ」
しかし、この予算教書は、Bush政権から民主党が優勢である連邦議会への単なる要求にすぎず、何ら拘束力を持たない。議会はすでに、予算の根本的な再編成を示唆している。
大統領の計画には、米国競争力イニシアチブ(ACI)の費用増額が含まれている。このACIは、米国が科学、技術の分野で世界の競合国に遅れを取らないようにすることを目的としている。
大統領の予算案では、全米科学財団(NSF)向けの支出額が64億ドルとなっており、2005年から6.8%増えている。大統領が示したNSF向けの予算概要によると、NSFに支出される資金のうち、およそ51億ドルは、「研究その他の関連活動」の費用に当てられる。この活動はこれまで、「インターネット、インターネット検索エンジン、光ファイバ、カラープラズマディスプレイ、磁気共鳴映像法(MRI)など、現在われわれの日常生活で役立っている先進技術の開発に寄与してきた」という。
またNSF向け予算には、NSFのナノテクノロジ研究部門向けの3億9000万ドル(前年比4.5%増)や同財団の「ネットワーキング及び情報技術研究開発」(Networking and Information Technology Research and Development: NITRD)プログラム向けの9億9400万ドル(前年比10%増)も含まれている。
一方、技術中心の政府機関の中には予算を削減されるところもある。例えば、米国標準技術局(NIST)の場合、同局の中核の研究活動の予算は増額された。しかし、「実証されていない初期段階の技術」の探求、調査を目的とした同局の先端技術プログラム(Advanced Technology Program:ATP)は打ち切られることなりそうだ。この点について、NISTの関係者に説明を求めたが回答は得られなかった。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」