ニュージーランドは、石油の消費を大きく削減するために、エタノールを利用することが可能かどうかを調査するプログラムを開始した。
Scion(前New Zealand Forest Research Institute)およびAgResearch(前Pastoral Agricultural Research Institute)という2つのニュージーランド国営の研究所は、カリフォルニア州サンディエゴのDiversaと共同で、ニュージーランドの森林および紙事業により生じる木材などの副産物からセルロース系エタノールを製造する実験を実施している。とうもろこしやさとうきびから製造される従来のエタノールと異なり、セルロース系エタノールはほとんど、あるいは全く価値のない農産物から製造されるため、製造コストを削減することができる。
これと同様に重要な技術として、セルロース系エタノールの研究者らは、微生物や酵素により、野菜中の成分を糖分に変換し、そこから自動車を走らせるためのアルコールを得る方法を考案中である。従来のエタノールガスの蒸留精製プロセスは、複雑でエネルギー消費量が大きい。Diversaは、特殊な性質を持つ微生物を検出し、それらを産業や医療分野に利用することをその専門としている。
2つの機関とDiversaは、Diversaの酵素がどのようにニュージーランドの豊富な自然から得られる木材の植物成分に作用するかについて、すでに予備的な研究を実施している。
現在、セルロース系エタノールは研究施設内で製造されているが、研究者らによると将来的には工場での製造に適した状態になるという。ダートマス大学から分離独立したMascomaは、2007年末または2008年初頭に実験的なセルロース系工場をニューヨークに建設する計画で、この工場はフル稼働した場合、年間50万ガロンのセルロース系エタノールを製造可能となる予定だという。
Diversaのビジネス開発担当バイスプレジデントであるWilliam Baum氏によると、ニュージーランドにもセルロース系エタノール工場を3年以内に建設するかもしれないという。この工場建設計画は同社の2つめのセルロース関連事業となるが、Baum氏は1つめの事業についても詳細は明らかにしなかった。
セルロース系エタノールの商業目的の製造は「当初は5、6年後とされていたが、われわれは3年以内に実現できると思っている。最大の問題は、100万〜200万ガロンを製造できる工場が建設可能かどうかである」と同氏は述べた。
今後の課題は、植物成分を変換する酵素と化学反応プロセスを完成させることである。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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