GoogleやYahoo!の名前がまず浮かぶ検索市場だが、一方ではベンチャー企業が画期的な検索サービスを開始し、その技術をECなどに利用することでユーザーの注目を集めている。
11月21日〜22日に開催された、ベンチャー企業の経営者やベンチャーキャピタリストなどが集まるイベント「New Industry Leaders Summit(NILS) 2006 Fall」のセッション「Search & Share」では、検索技術をもとしたサービスを展開するECナビ代表取締役CEOの宇佐美進典氏、チームラボ代表取締役社長の猪子寿之氏が登壇し、さらにRiya CEO&Co-FounderのMunjal Shah氏がSkypeによって議論に参加した。モデレーターはMitsui&Co. Venture PartnersのInvestment Partnerである竹内寛氏が務めた。
一見、あまり関係のないサービスを提供しているようにも見える3社だが、竹内氏は「ユーザーに『気づき』を提供するサービスとして共通している」という。Riyaは画像をもとに、ECナビはCGMサービスと連携した要素で、チームラボはリコメンデーション(ユーザーへの商品やサービスの推薦)やコンテンツマッチにより、それぞれ今までユーザーが知らなかった情報を提示してくれるという。また、3社はそれぞれがショッピングに関する検索技術を持っていると説明する。
セッションはまず、Shah氏によるRiyaの紹介から始まった。同社は独自の画像認識技術を持ち、画像検索サイト「Riya」を運営するほか、画像による商品検索サイト「Like.com」を運営している。
Shah氏によると、Riyaでは画像を1万のベクトルを持つ数列として分析し、カラーヒストグラムや特定の色が占める割合、光沢の有無、形など画像のあらゆる情報を抽出するのだという。そしてさまざまな画像の情報を瞬時に比較することで、類似した画像を検索する。「われわれは画像の特徴を見つける技術と、何百万もの画像を瞬時に比較する技術という2つの技術を持っている」とShah氏は説明する。
この画像認識技術を利用した商品検索サービスがLike.comだ。かばんや時計、アクセサリなど画面上に表示された商品の写真画像を分析して情報を取り出し、類似した商品を検索できる。商品は色や形、パターン、価格をもとに絞り込むことも可能だ。また、映画俳優らの写真画像から、その俳優が身につけているアクセサリーの情報を取り出し、そのアクセサリーに似た商品を探し出すといった使い方もできる。今後は家具や陶器、花など、検索できる商品のカテゴリを広げていくほか、他社と提携し、携帯電話向けのサービスも検討する。
Like.comでは画像解析を武器に、テキストでの検索が難しい分野に焦点をあてる。Shah氏は「『20GバイトのiPod』や『ソニーのサイバーショットの型番』をテキストで検索するのは簡単だ。しかしカーペットのパターンやタイルの柄はテキスト検索で探すのは難しい」と説明し、自社の強みを語る。Riyaではビジネスとして実現しやすく、なおかつ文字で表現するのが難しいという理由からファッション分野の商品検索サービスを開始したのだと説明する。
一方、懸賞サイトからサービスを開始したECナビは、価格比較サイト「ECナビ」で商品検索サービスを提供するようになってから2年程になる。宇佐美氏によると、ほかの価格比較サービスとの差別化を図るため、最新のサービスを提供するラボサイトを立ち上げて、「ECナビリスト」などCGMコンテンツを提供し、ユーザー間で情報を共有するサービスも次々と提供している。
さまざまな商材を扱っているECナビだが、提供する検索サービスを大きく分けると2つになるという。1つは商品の名前からの検索で、もう1つはショップ名での検索だ。
ECナビでは、同サイトを経由してECサイトの商品を購入すると、ECサイトのポイントとは別に、ECナビ独自のポイントが付与される。そのためECサイト名による検索も多く、検索全体の割合としては、半々よりECサイト名での検索が多いという。今後は商品名を軸にした検索を強化すべく、電化製品をはじめ検索カテゴリを強化していくという。
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