ソフトバンクグループの日本サイバー教育研究所は、インターネットによる通信制の4年制大学「サイバー大学」を2007年4月から開校する。同社は11月30日に文部科学省の設置認可を正式に受けたことにともない、ソフトバンク本社にて記者向けの説明会を開催した。
サイバー大学は福岡市の構造改革特区を活用して設立。学長にはエジプト考古学者の吉村作治氏が就任する。
同大学では吉村氏が学部長を兼任する「世界遺産学部」と、日本におけるインターネットの第一人者でもある石田晴久が学部長を務める「IT総合学部」の2学部を設立する。各学部長は、教員の中から最適な人物を選び、数年内に職を譲る予定だ。
サイバー大学では旧来の学問ではなく、企業の即戦力として活躍できる人材の育成を目指す。また、インターネットを利用することで地域や年齢、時間、身体的なハンディキャップなどを問わず幅広い学びの場を提供することで、教育格差の解消を目指す。
講義はインターネット上でオンデマンドに受講できる。また、教員への質問や課題の提出もメールや専用のBBSを用意する。課題や試験についてもオンライン上で実施する。資本を出資している企業へのインターンシップやNPO団体でのボランティア活動、海外留学のサポートや精神面でのカウンセリングなども実施したい考えだ。教員についても学生など第三者からの評価を行うことで、教育の質も向上させたい考えだ。
株式会社立の大学であることについて吉村氏は「利益先導型で儲からないとやめたりしないか、また学費が高いんじゃないかと言われるが、これはまったく逆。教育は講師の知識を教えるというサービス。学士を与えて終わりというわけではない」と言う。また、「株式会社は経理が明快で透明性が高い。税金を免除されて教育する学校法人とは違う。そこを文科省や諮問委員会に理解いただいた」と説明する。
学費は入学金10万円、検定料1万円、1単位2万1000円となる予定。卒業には124単位が必要なため、卒業までに最低で約270万円程度かかることになる。吉村氏は「通常私立大学の文系で卒業までに500万〜600万円かかる。授業内容は十分に学費に見合うもの」とした。
今後2〜3年以内には他学部の新設も予定しているが、吉村氏は「既存の大学にはない学部を作りたい」と語る。たとえば日本語だけを教えるのではなく、日本の文化や歴史、現状を教える「日本学」や地球物理学ではなく、宇宙から人間を考えるという「宇宙学部」などを設立したいという。一方で、学部新設の課題として「良い教員を集められるか、良いコンテンツを提供できるかということがある」とした。
また、海外の大学との連携、インターネット利用の通信高校との連携強化、大学院の設置、企業と提携した研究所の設置などを予定する。そのほか、株式会社として運営するため、「株主への配当を還元するほか、教育に対して還元していく」と説明する。具体的には授業料の減額や、研究費の追加、評価の高い教員へのインセンティブなども行っていく予定だ。
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