カリフォルニア州の最高裁判所は米国時間11月20日、個人のネットユーザーは第三者が書いた誹謗中傷を再配布しても責任を問われない、という裁定を下した。ブロガーやニュースグループの参加者、ウェブパブリッシャーにとっては大きな勝利だ。
裁判官が全員一致で下したこの裁定はおそらく、1996年制定の連邦通信品位法(Communications Decency Act:CDA)が、オンラインサービスを提供する事業者だけでなくコンテンツを再配布するサービス利用者も保護することを、初めて明確にするものだ。これまでの裁定で、CDAの第230項により、AOLやeBayなどの企業は、「公序良俗に反する、猥褻、みだら、不道徳、非常に暴力的、嫌がらせなど、人を不快にさせる」と見なされる素材へのアクセスを制限する方策を十分にとっている場合、責任は問われないという解釈が確立していた。
Carol Corrigan陪席裁判官が書いた裁判記録(PDF)には、裁判官らの多数意見として、米国議会はCDAを可決することにより、「表現の自由を保護するとともに、自主規制を奨励する」ことを意図して、「個人のネットユーザーによる再配布の責任を包括的に免除している」と結ばれている。
裁判官らは、「ネット上における中傷の再配布の免責を幅広く解釈すると、なんらかの問題を含む結果につながる」と認めた。しかし、議会が法律を変えない限り、ネットに掲載されたもので名誉を傷つけられたと主張する人は、「その情報の本来の出所」に対してしか損害賠償を求めることはできない」と、裁判官らは記している。
一方、Carlos Moreno陪席裁判官は補足意見の中で、こうした法の保護は中傷を始めた人物の共謀者にまで拡大されるべきではない、と述べている。
Moreno陪席裁判官は、「最初の情報提供者との不当な共謀行為に関与した人物は、議会が免責対象として意図した中立な『情報媒介者』ではあり得ない」と書いた。ただし本件では、そうした行為はなかったと考えていると、同裁判官は付け加えた。
本件の発端は2000年にさかのぼる。同年、不当な医療行為を暴露するウェブサイトを運営していた2人の医師が、Ilena Rosenthal氏を訴えた。Rosenthal氏は、豊胸手術を受けた後に問題を抱える女性を支援する団体の代表を務め、インターネットのニュースグループを10年前に立ち上げて運営してきた。
州最高裁判所の意見によると、「Quackwatch」というサイトを運営するStephen Barrett医師と、Timothy Polevoy医師は、Rosenthal氏が「電子メールやネット投稿を使い、中傷的な声明を悪意を持って配布し、原告の人格や能力を攻撃し、不正と戦う原告の取り組みをさげすむことにより」名誉を毀損したと訴えているという。具体例としては、Polevoy医師がカナダのラジオ局のプロデューサーに対してストーカー行為をしているとして非難した別の人物のレポートを、Rosenthal氏は2つのニュースグループに転載したという。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」