ソフトバンクは11月8日、2007年3月期(2006年4月〜9月)連結中間決算を発表した。純利益は144億円の黒字(前年同期は41億円の赤字)と黒字転換した。
売上高は1兆1201億円(前年同期比2.1倍)、営業利益は1125億円(前年同期比25.6倍)と大幅に増えた。営業利益ではソフトバンクモバイル(移動体通信部門)で566億円が加わっており、ブロードバンド・インフラ事業や子会社であるヤフーのインターネット事業も好調だった。営業利益、営業EBITDA(営業損益+営業費用に含まれる原価償却費および固定資産除却損)、経常利益については創業以来最大となった。
また、8月にSBIホールディングスの全株式を売却した売却益692億600万円を含む714億6800万円を特別利益として計上し、税金等調整前純利益は1188億円となった。詳細は表1のとおり。
2006年上期 | 2005年上期 | 増減 | |
---|---|---|---|
売上高 | 11201 | 5227 | 214% |
EBITDA | 2284 | 502 | 1445% |
営業利益 | 1125 | 44 | 2569% |
経常利益 | 626 | ▲134 | - |
税金等調整前純利益 | 1188 | 259 | 459% |
純利益 | 144 | ▲41 | - |
連結有利子負債は2兆491億円となり、2006年3月時点の4546億円から大幅に増加した。これにはソフトバンクモバイル買収により増加したソフトバンクモバイル社債1000億円、ソフトバンクおよびヤフーの投資3200億円、LBOブリッジ借入1兆1738億円が含まれている。
また、第2四半期の連結決算は表2のとおりとなっている。
2006年3月期第2四半期 | 2005年3月期第2四半期 | 前期比増減 | |
---|---|---|---|
売上高 | 6259 | 2641 | 237% |
EBITDA | 1240 | 307 | 403% |
営業利益 | 581 | 75 | 773% |
経常利益 | 366 | ▲4 | - |
税金等調整前純利益 | 895 | 251 | 342% |
純利益 | 130 | 69 | 188% |
ソフトバンク代表取締役社長の孫正義氏は、決算発表に先立って、番号ポータビリティ(MNP)制度開始直後に起こったソフトバンクモバイルのシステムトラブルについて「立ち上げの混乱については心苦しく深く反省している。これは私自身の責任である」と謝罪した。そして、MNP開始後初めての連休を終え「まだ一部コントロールしながらだが、山場は越えた」と語った。
ソフトバンクモバイルについては「設備への先行投資があるため赤字を想定していたが黒字にできた」と語る。第3四半期、第4四半期については、「営業利益で赤字にはならないが、先行投資での利益ダウンは十分考えられる」とした。設備投資では、現在2万4539局の基地局数を2007年3月までに4万6000局まで増やす方向は変わらないとした上で「仮に数カ月遅れてもあまり責めないでいただきたい」と語った。また、電波の届かない地域のユーザーに対してホームアンテナを無料配布するほか、現在基地局3000局のHSDPAサービスについても範囲を拡大していく。
孫氏はさらに、ソフトバンクモバイルの10月の加入状況についても説明した。MNPによる転入が3万1100件、転出が5万5000件、MNP以外の新規加入が19万2100件、解約が14万4400件となっており、MNPでは差し引き2万3900件の減少となるが、全体での純増数は2万3800件となった。
増加数 | 減少数 | |
---|---|---|
MNPによる転出・転入 | 3万1100件 | 5万5000件 |
新規加入・解約 | 19万2100件 | 14万4400件 |
11月1日から11月7日までの加入状況ではMNPによる転入が3万6400件、転出が4万3500件、MNP以外の新規加入が6万2800件、解約が2万7700件で、MNPについては差し引き7100件の減少、全体で2万8000件の純増だという。「MNP開始2週間前まではアンケート調査でも、メディアの評価でも、『ソフトバンクはユーザーを激減させる、草刈り場になる』とされていた。しかし全体のユーザー数で純増しており、決して悪くない状況。実質プラマイゼロで、ここからがスタートだ」(孫氏)
増加数 | 減少数 | |
---|---|---|
MNPによる転出・転入 | 3万6400件 | 4万3500件 |
新規加入・解約 | 6万2800件 | 2万7700件 |
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