米最高裁、MSの再審議要請を受理--AT&T音声ソフト特許訴訟

文:Anne Broache(CNET News.com) 翻訳校正:編集部 2006年10月30日 22時07分

 米最高裁判所は、MicrosoftとAT&Tが関与する特許権侵害訴訟の審議に着手することに同意した。その結果次第では、海外における特許権侵害行為に対し、ソフトウェア企業が負うべき損害賠償の範囲が拡大する可能性がある。

 最高裁の判事団は米国時間10月27日、1ページにまとめられた命令リスト(PDFファイル)の一部として、審議着手の決定を発表した。同判事団は追加コメントを出さなかったが、最高裁長官のJohn Roberts氏が「この申請とこの申し立ての審議や判断に一切関与していない」ことは注意書きとして付け加えられた。

 この裁判は、AT&Tが2001年、連邦裁判所にMicrosoftを提訴したのが発端だ。AT&Tは、多くのコンピュータに搭載されているWindowsに含まれる音声コーデックソフトウェアが、AT&Tが保有する特許の1つを侵害していると訴えた。それらのAT&Tの特許には、「デジタル音声符号化技術」に関する特許が含まれていた。

 その後、MicrosoftとAT&Tの両社は2004年に和解した。その結果、Microsoftが負う損害賠償額に比べ、侵害の事実の重要性は急速に低下していった。当時、ニューヨーク州の連邦判事が下した判決は、Microsoftは以下の2つの領域における侵害について法的責任を負うというものだった。1つは、米国内で販売されているシステムに関する侵害。もう1つは、米国内で開発したゴールデンマスタディスクを外国に送り、現地の海外メーカーが製造したソフトウェアのコピーに対する侵害だ。2005年7月には、多くの特許訴訟を扱う連邦巡回控訴裁判所の3人の判事団のうちの2人が、同判決を支持した。

 Microsoftはこれらの判決を不服とし、2006年1月に最高裁の再審議を求める嘆願書を提出した。

 最高裁の審議で問題となるのは、それらの下級審判決が、米特許法のある複雑な規定の内容と一致しているか否かだ。その規定は、米国以外で行われた特許権侵害行為に対する米国企業の法的責任について定めている。同規定によると、米国の特許で保護された発明品の「相当量の構成部品」を米国以外の国の人物や企業に提供した場合、特許権侵害行為として法的責任が問われる。ただし、そのデバイスが他の部品と組み合わされたときに米国特許を侵害することを知っていた場合に限られる。

 Microsoftは最高裁に対し、以下の問題の検討を要請している。まず、ソフトウェアのオブジェクトコードはそれらの構成部品の1つと見なされるのか。そうだとしたら、仮にある米国企業がわずか1枚のマスタディスクを海外のメーカーに提供し、そのメーカーがそのディスクを複製した場合、その米国企業は、問題の部品を何千台ものコンピュータに提供したと見なされるのかという点だ。

この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

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