サンフランシスコ発--Sun Microsystemsの見解によれば、コンピュータテクノロジ市場はムーアの法則によって2分されるという。1つは、今後もコンピュータを購入する顧客層であり、もう1つは、そういった顧客からコンピューティングサービスをレンタルする顧客層である。
Sunは前者の市場に注力すると、Sunの最高経営責任者(CEO)Jonathan Schwartz氏は当地で開催中のOracle OpenWorldカンファレンスにて語っている。
Intelの共同創業者Gordon Moore氏の提唱したムーアの法則とは、シリコンチップ上に搭載されるトランジスタの数は2年ごとに倍増するというものである。この法則はまた、ストレージ容量やネットワーク容量が持続的に増加することも意味しており、コンピューティングテクノロジの価格が着実に低下することとも密接に結びついている。
ムーアの法則の結果、コンピュータ機器の価格は着実に低下している。そして、そのことを喜ぶ顧客もいる。しかし、ネットワークで結ばれたサービスを新たに構築するために多額の資金を投入し続けている顧客、例えば、eBay、Verizon、Google、Oracle、Salesforce.comなどとのビジネスを考える方がコンピュータメーカーとしては望ましい、とSchwartz氏は主張する。そして同氏によれば、こうした顧客は、サービスや登録ユーザー数を拡大していく上で、ムーアの法則のペースに満足していないという。
Schwartz氏は「われわれは、ITを競合他社と闘うための武器としている顧客に注力していく。こういった顧客は投資額を増加させており、その額は2〜3年前に比べて2倍、3倍、4倍にもなる」と述べるとともに、「ITをコストとしてしかみていない顧客に注力する必要はない」とも述べている。
これはつまり、コンピュータを今日利用する顧客の多くにSunは興味を持っていないことを意味する。Schwartz氏は「ショッピングモールの花屋に置いてあるサーバに注力する気はない」とも述べている。こういったタイプの顧客は、最終的にコンピュータを持たなくなり、Sunの顧客でもあるネットワークサービスプロバイダーが提供するようなオンライサービスを利用するようになるだろう、と同氏は予測している。
Schwartz氏は2006年4月にSunの共同創業者であるScott McNealy氏の後継として同社CEOに就任し、役員を刷新するとともに、大規模なレイオフを実施した。だが同氏は、前任者であるScott McNealy氏の遺産の1つを守ろうとしている。それは、業界の先駆者というSunのステータスである。
Sunは、そういったステータスによってインターネットバブル時には大きな利幅と高い売り上げを確保していたが、バブル崩壊後は厳しい状況に置かれることになった。同社はここ数年、売上成長率と、堅実な利益性、市場性を取り戻そうと努力している。
Schwartz氏はまた、McNealy氏の強気な姿勢を引き継いでいる。
同氏は「バブルのマイナス面の1つは、その終わりにある。しかし、希望の光の1つとして、バブルの後には大抵、仕切り直しが起こる」と述べ、「バブルが崩壊すると、多くの人が多額の金を失い、企業が倒産するものの、その後で大規模な仕切り直しが起こる」と付け加えた。同氏は例として、バブルがはじけた後まもなく本当のビジネスに変貌した鉄道業界や電力業界を挙げた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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