もっと細くみせたい?背を高くみせたい?日焼けしたようにみせたい?大丈夫、こうした要求に応えるカメラが登場している。
最近のカメラはフラッシュの調節以上のことができるようになった。現実を調節することができるのだ。かつてはPCと特別なノウハウを必要とした写真修正機能だが、今となっては消費者が撮影した写真をただちに修正することができる。
Hewlett-Packard(HP)の新カメラの一部は、被写体を細くみせる機能があるほか、モードの切り替えにより顔のしわや毛穴を消すこともできる。オリンパスの一部機種が備える「スキントーン」機能は、バカンスで日焼けしたように見せることができる。他メーカーは、撮影時に色彩を豊かにするモードを提供している。このように新たなカメラ搭載ツールを使うことで、昔のボーイフレンドの姿を切り取ったり、新しいボーイフレンドの周りに架空のフレームを置いたりすることさえできる。
これまでも、ほとんどのデジタルカメラが赤目除去や、フラッシュの光量不足により暗くなった画像を明るくするなどのツールは備えていた。しかしこうした編集機能は撮影者の技術不足やカメラ自体の能力の限界を補正するものであり、被写体自体を修正するものではなかった。
新しいツールを使えば普通の人でも、撮影時に自分で「偽りの写真」を作ることができるようになる。裸眼で捉えられた実際の画像は一切残らない。
「法曹界では、とくにシャッターを切ると同時に背景を変えることができることなどを考えると、もはや写真が証拠として受け付けられなくなるのではと懸念されている」とボストン大学のPeter Southwick氏(フォトジャーナリズムプログラムの助教授兼ディレクター)は述べている。「昔はオリジナルというものが存在したが、今ではオリジナルが存在しない。証拠提供のためのツールとしての写真、または証拠としての写真は、もはや存在しないかもしれない」(Southwick助教授)
フェアレイディッキンソン大学(ニュージャージー)で社会学非常勤講師を務め、技術が社会に及ぼす影響を専門とするAnthony Spina氏によると、メディアおよび文化評論家であった故Neil Postman氏が掲げた技術全般に関する有名な基準があるという。
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