サンフランシスコ発--バーチャルワールドの「Second Life」について明らかになってきたことを1つ挙げるなら、それは「Second Life」が、増加し続ける多くの起業家にもうかるビジネスの機会を提供しているということだろう。
だが、こうした革新者たち--急成長するデジタル衣料やデジタル建築、そしてデジタル帝国のクリエーターたち--が活躍し始める一方で、実際に事業を運営することは、たとえバーチャルワールドであっても複雑で厳しいものだと気づく人も多い。
そんな中、会計とビジネスコンサルティングの分野で長年にわたり実績と成功を築いてきたKAWG&F(メリーランド州ボルチモア)に勤めるArlene Ciroula氏は、自身のチームの技能と専門知識を「Second Life」に注ぎ込もうとしている。Ciroula氏は、デジタル世界に実業家たちが登場してきたこの時代に、成功を手にするために役立つ財務アドバイスを最初に提供することで、自身も注目を集められるのではと期待している。
従業員数100名のKAWG&Fで最高業務責任者(COO)を務めるCiroula氏は、「Second Life」で起業し新天地に踏み込もうとしている人々を支援したいと話す。こうした人々の多くは、それまでに事業を運営した経験がないという。そこでCiroula氏は、米国時間8月18日〜20日にサンフランシスコで開催された「Second Life Community Convention」に参加した。このイベントにはバーチャルワールドの「住民」が数百人集まることから、できるだけ多くの人に語りかけ、自身の新たな取り組みに関心を集めようと考えたのだ。
Ciroula氏は、少なくとも当面はサービス代金の支払いを、「Second Life」内で流通する通貨「Linden Dollar」で受け取るつもりだと語る。
「『Second Life』についていろいろ学び始め、そこでビジネスコミュニティが立ち上がるさまを見る過程でわかったことがある。それは、このコミュニティが今後も成長を続けることは間違いないが、必要なものが提供されていないということだ」と、Ciroula氏は話す。「このコミュニティでは誰一人として、会計やビジネスコンサルティング、戦略的プランニング、収支予測といったサービスを提供していない」
バーチャルワールドのプレーヤーにビジネスのアドバイスが必要だという発想は奇妙に思えるかもしれないが、「Second Life」は明らかに、そうする価値のある世界だ。この開かれたデジタル環境では誰もが、思いつくままに、ほとんど何でも作り出すことができ、どんな種類のビジネスでも始められる。ここは、2003年の開設以来、革新的な考えを持つ多くの人々にとって実り多い大地になり得ることが証明されてきている。
このため、「Second Life」内のビジネスで生活費のすべてをまかうことが可能だと気づいた人も少数ながら存在し、その数は増加している。たとえば、Electric SheepやAnsheChung Studiosのような企業で働く人たちだ。Electric Sheepはメジャーリーグベースボール(MLB)、LEGO、ダートマス大学ほか多くの顧客を抱え、「Second Life」の世界で複雑なプロジェクトを構築している。AnsheChung Studiosは、「Second Life」で土地を開発し販売して大きな収入を得ていることで知られる。
「Second Life」ではChili Carsonと名乗っているCiroula氏は、「私の調査によると、『Second Life』には現在、3100ほどのビジネスがある」と話す。「現在のユーザー数は30万から40万だ。これを基に計算してみればいい。人口が増えれば、ビジネスはさらに拡大すると私は考えている」
ビジネス上のアドバイスに関しては、現実世界も「Second Life」も似たところが多いとCiroula氏は話す。
たとえば、マーケティングやブランド構築の必要性や、高い評判を確立することが不可欠だという点は共通している。さらに、どんなビジネスをするにしても、資金とキャッシュフローの管理を学ぶ必要がある。
「『規模の小さいわれわれが、困難を乗り越えもっと大きくなるためにはどうすれば良いのか』という昔ながらの問題がある。人を雇う時期をどうやって見極めるのか?」(Ciroula氏)
しかし同時に、「Second Life」でのビジネス特有の課題もある。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」