とうもろこしや大豆を燃料とするのは非現実的--全米科学アカデミー会報で発表に

文:Michael Kanellos(CNET News.com) 翻訳校正:尾本香里(編集部)2006年07月13日 20時32分

 全米科学アカデミー会報(Proceedings of the National Academy of Sciences:PNAS)が作成した新たな報告書によると、とうもろこしや大豆から作られたエタノールだけではエネルギー危機を解決することはできないという。

 2005年に米国で生産されたとうもろこし全てがエタノール産出のために費やされたとしても、同国で必要とされるガソリン量のうち12%しか供給できないと、同報告書には書かれている。もし大豆作物が燃料として消費されても、米国のディーゼル需要の9%を供給するに過ぎない。またこれらの作物を燃料として使用する量が目に見えて増えるということは、米国における食料供給が減少することも意味する。

 しかし同報告書では、生物燃料の可能性についてはさほど難しく考えていないようだ。例えばスイッチグラスのような高セルロース性植物を使用してより多くの燃料を産出する考え方が支持されている。これは他の科学者らが提唱するアプローチである。

 スイッチグラスや同様の植物は、食物用に育てられたとうもろこしなどの作物と同等の量を利用しても、より多くのエネルギーを産出できる可能性を有する。さらに高セルロース性植物は、肥料を必要としないうえ、そもそも食料として利用するには適していないために、燃料として使っても食料供給に影響を及ぼすことがない。

 これらの燃料用植物はまた、あまり多くの水を与えなくても育つため、作物を育てるには乾燥し過ぎている土壌でも育成できると考えられている。またこれらの植物から作られた燃料は、とうもろこしエタノールや大豆ディーゼルと同様に、標準的な自動車の燃料と比べると、排気ガスの排出量が少ない。

 また今回の報告書では、最近出されている他の報告書に反し、とうもろこしエタノールと大豆バイオディーゼルの両者とも、それを生産するために消費されるエネルギー量を上回るエネルギー量を供給できるとしている。作物を収穫し、処理するために必要なエネルギー量と比べると、とうもろこしエタノールの場合は25%、大豆ディーゼルの場合は93%多くエネルギー量を提供できるという。

この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

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