フランス政府は、Apple Computerが有料オンライン音楽配信サービスiTunes Music Storeで販売している楽曲をiPodと競合するデバイスでも再生可能にするよう同社に義務付ける法の制定を目指していたが、どうやら同法案を修正したようだ。
英国のITニュースサイト「The Inquirer」によると、フランスの上院委員会が、同法案からハイテク企業各社に自社のデジタル権管理(DRM)技術の公開を義務づける文言を削除したという。
この件について、Appleに対し再三に渡り電話でコメントを求めたが回答は得られなかった。しかし、同社をはじめフランスで事業を行っているDRM保有企業は今回の法案修正にさぞ喜んだことだろう。同法が成立するためには議会での採決を経なければならないが、今回の修正は、競合他社への自社技術の供与を望まない企業の権利を尊重したいと考える人々がフランス政府内に存在することを意味する。仏上院は現地時間5月4日から同法案に関する審議を開始する。
しかし一方では、法案を骨抜きにする修正にフランスの一部の消費者団体から怒りの声が上がった。フランスの消費者団体Union Federale des Consommateurs-Que Choisirは2006年2月、Appleとソニーがそれぞれ使用するDRM技術が消費者の選択肢を制限しているとして、両社を提訴した。
このニュースを最初に報じたPC情報サイトArs Technicaによると、一部の消費者団体が5月7日にパリのバスティーユ広場で街頭抗議を計画しているという。
Appleの音楽サービスを通じてダウンロードされたファイルは、同社独自のDRM技術であるFairPlayによって保護されており、iPodなどのApple製デバイス上でしか再生できない。
フランスの下院は2006年4月、1つの音楽再生技術や1社のメディア販売業者あるいはデバイスメーカーによるオンライン市場独占の阻止を目的とした法案を可決した。
しかし、同法案に対しAppleが「国家的海賊行為」と激しく非難したため、上院が文言の修正を行った。
米調査会社Gartnerのリサーチ担当バイスプレジデント、Mike McGuire氏は、「(フランス上院による法案の修正は)ほぼ大方の予想通りだ」と述べ、さらに次のように続けた。「フランスはそのような法を成立させるためにAppleは独占企業だと主張していたが、実際には他にもいくつかのサービスが存在し、人々はその中から好きなサービスを選択可能だ」
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
地味ながら負荷の高い議事録作成作業に衝撃
使って納得「自動議事録作成マシン」の実力
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス