2つのブラックホールが衝突すると、宇宙はゼリーのように揺さぶられる。米航空宇宙局(NASA)は、スーパーコンピュータを使ったブラックホールの衝突のシミュレーションで、Albert Einsteinの理論を検証し、宇宙の秘密を解き明かそうとしている。
NASAのスーパーコンピュータ「Columbia」は、2つのブラックホールが衝突し、合体する様子を示す3Dシミュレーションに成功したが、これはいままで行われた天体物理学の計算のなかで最大規模となるものだ。「これは途方もない大異変で、放出されるエネルギーの量で言えば、これ以上の規模の事象はビッグバンしかない」と、メリーランド州グリーンベルトにあるNASA重力天文物理学研究所(Gravitational Astrophysics Laboratory)の責任者、Joan Centrella氏は、米国時間4月18日に行われた報道陣向けの電話会議のなかでそう語った。
NASAは、今回成功したこのシミュレーションについて、ブラックホール観測における大きな進歩であり、宇宙全体の理解につながるものだとしている。実際、このシミュレーションの成功により、Einsteinの一般相対性理論が最終的に証明される可能性さえある、とNASAは主張している。
ブラックホールは、質量の大きな星がエネルギーを消費し尽くし、超高密度の天体へと収縮したときに生じる。その重力はあまりにも大きいため、周囲にあるものすべて--光さえも--がブラックホールに吸い込まれてしまう。
2つのブラックホールが衝突すると、宇宙に輝くすべての星のエネルギーをあわせたよりもまだ大きなエネルギーが放出される。重力波が光の速度で広がっていく時、周囲の宇宙はボウルに入れたゼリーのように揺さぶられる。今回NASAがようやくシミュレーションに成功したのは、この重力波のパターンだ。
「重力波は、宇宙を見るまったく新しい窓をわれわれに提供することになる」と、シラキュース大学の物理学教授で、この計画に参加しているPeter Saulson氏は述べ、今回のシミュレーションの結果を、電波や赤外線、X線の発見に匹敵するものだと説明した。
「天文学者が新しい窓を開くたびに、宇宙は新しい顔をのぞかせた。われわれは今まさに重力波の窓を開きつつある。これによって、われわれはまたもや、宇宙のまったく新しい姿を見ることになるだろう」(Saulson氏)
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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