キリスト教原理主義の伝道師で同性愛反対派のJerry Falwell氏が、同氏を批判するウェブサイトの閉鎖を求めていた裁判で、米最高裁判所はFalwell氏の訴えを却下した。
Falwell氏は、Fallwell.comと呼ばれるウェブサイトの運営者を提訴していたが、最高裁の判事らは米国時間4月17日、理由を述べずに同氏の訴えを退けた。Fallwell.comは、「同性愛者に関するFalwell氏の認識が完全に間違っている根拠」を説明するために設立されたサイト。Falwell氏は、同サイトのドメイン名の綴りが自身の公式ウェブサイトのそれに酷似していることを理由に裁判所に同サイトの閉鎖を命じるよう求めていた。
被告のChristopher Lamparello氏は、ニューヨーク在住の30代の同性愛者の男性だ。Lamparello氏は、Falwell氏がテレビのインタビューの中で同性愛者に批判的な意見を述べているのを見て、同氏の立場を批判する目的で1999年にFallwell.comを開設した。Falwell氏はその後数年間に渡り、Lamparello氏に対し書簡で同サイトの閉鎖を要求し、要求が受け入れられない場合は商標権侵害などを理由に提訴すると警告していた。
2005年に地方裁判所が、Lamparello氏に対し、意図的に誤った綴りを使ったドメイン名の使用を禁じ、そのドメイン名をFalwell氏に譲渡するよう命じた。しかし同年夏に、連邦控訴裁の3人の判事団がこの地裁判決を覆し、同サイトの運営継続を認める判決を下した。
この裁判でFalwell氏の代理人を務めたJohn Midlen弁護士は17日、CNET News.comのインタビューに答え、最高裁がFalwell氏の上訴を却下したのは誠に遺憾だと述べた。また同氏は、訴えが却下されたことでこの件を法的に解決する道が完全に閉ざされてしまったと語った。
Diana Motz控訴裁判事は当時の判決の中で、「Lamparello氏のウェブサイトとFalwell牧師のサイトは、外見的に全く似ておらず、実際、Lamparello氏には、Falwell牧師のサイトを模倣する意図は全くなかった」とし、同サイトには、商標権侵害の訴えを認めるのに十分な、「混乱を招く可能性」の高さは認められないと結論づけた。
Lamparello氏のウェブサイトには、同氏の言う同性愛者に関する虚偽や誤解の払拭を目的とした記事に加え、Falwell氏の公式サイトとの関連を否定する注意書が記されている。
Lamparello氏勝訴の判決を下した控訴裁判所は、2001年に、動物愛護団体の動物の倫理的扱いを求める人々の会(People for the Ethical Treatment of Animals:PETA)の頭文字をもじり、People Eating Tasty Animals(おいしい動物を食する人々の会)と言い換えていたPeta.orgと呼ばれるウェブサイトの閉鎖を支持した。(同サイトは別のURLで現在も存続している。)
Falwell氏が、自身の公式サイトとドメイン名が似ているサイトに対する商標権侵害訴訟を起こしたのは今回が初めてではない。2003年には、Jerryfalwell.comとJerryfallwell.comの2つのウェブサイトに対する商標権侵害訴訟を提起したが、その時も訴えは退けられた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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