フランスが、インターネットからダウンロードした著作権コンテンツの個人利用を広く認める法律を、世界で初めて制定する可能性がある。
エンターテインメント業界は著作権侵害に対する法的制裁措置を求めてきたが、フランス下院は米国時間12月21日、こうした動きを阻止する修正案を30対28で可決し、業界の取り組みに水を差した。
本修正案は、次のように概括される。「著作者はみずからのいかなる作品であっても、個人利用を目的とし、直接的もしくは間接的な商用利用を想定していないオンラインコミュニケーションサービス上の複製を禁じることはできない」
CNET News.comの電話インタビューを受けたAssociation of Audionautsの顧問弁護士Jean-Baptiste Soufronは、この法律が、およそ800万人のインターネットユーザーを抱えるフランスにおいて、著作権で保護された音楽や映画を「PtoPで合法的にダウンロードすることを可能にする」ものだと説明した。Association of Audionautsはフランスの権利擁護団体で、違法なファイル共有で告発された約100名のユーザーを弁護してきた。
フランスの著作権法には「私的複製」という概念があり、自分や友人が利用する場合はコンテンツをコピーすることができると、Soufronは述べている。しかし最近では、「インターネットでダウンロードしたコンテンツが『私的複製』の対象に含まれるかどうかをめぐり、大規模な議論が起こっている」とSoufronはいう。
Soufronは、フランス法廷は先頃、個人利用のためのダウンロードコンテンツは「私的複製」の定義に合致するとして、同団体に有利な裁定を下したと話す。さらに、今回の修正案は、過去の判例よりも成文化された法律に重きを置く習慣に、より強固で国家的な法的支持を与えるものになると、Soufronは述べた。
もっとも、Association of Audionautsは著作権所有者には何の補償もないとしているわけではなく、このたびの修正案に、インターネットサービスプロバイダー(ISP)から著作権使用料を徴収するための条項を追加する取り組みに参加しているという。ISPは、一定量のダウンロード/アップロードを行うユーザーから2〜5ユーロ程度の月額料を徴収して、こうした使用料の支払いに充てると考えられる。
音楽産業の権利を擁護する国際的な商業組合IFPIは、同修正案が初期承認を受けたことに「大きな懸念を抱いている」と発表した。
IFPIがCNET News.comに提供した声明には、「本修正案の一部は、インターネットにおける正規の音楽配信サービスの普及を助長するのではなく、こうしたサービスやフランスの文化産業の未来に著しく有害な影響をもたらすおそれがある」と記されていた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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