GCCは、オープンソースとフリーソフトウェアを支えるコンパイラだが、先ごろ新たにリリースされたGCC 4.0のデバッグと処理速度の向上に現在プログラマらが取り組んでいる。
リードプログラマのMark Mitchellは、4月22日にGCC 4.0をリリースした。これに搭載された新しい最適化フレームワークは、人間の書いたソースコードをコンピュータが理解できるバイナリコードに変換するプロセスを改善するよう設計されている。
だが、この新バージョンはまだ完成にはほど遠く、明確なパフォーマンスの向上が見られるまでには時間がかかると、Mitchellはインタビューのなかで語っている。「全く新しい最適化インフラを採用した。新インフラにはまだ前バージョンほど念入りな調整が施されていない」(Mitchell)
GCC 4.0がデビューして最初に遭遇した問題の1つがKDEだった。KDEは、Linuxコンピュータで幅広く利用されているグラフィカルインタフェースソフトウェアだが、そのパッケージがGCC 4.0ではコンパイルできず、KDEの開発参加者らがGCC 4.0を一時ブラックリストに入れてしまった。
KDEの足かせとなったこのバグは現在は修正済みで、まもなくバージョンアップが行われるはずだと、Mitchellは述べている。同氏は、「4.0.1のリフレッシュリリースは予定より早く投入できるだろう」とし、当初予想されていた2カ月ではなく1カ月以内になるとの見方を示した。
GCCは、フリー/オープンソースソフトウェアのほぼすべてのプログラムの生成に利用されているため、コンパイラ機能のわずかな向上や低下も、数千のプロジェクトに影響してしまう。
GCC 4.0はさらに、プログラマで作家のScott Laddが先週出したレビューにも悩まされた。同氏がGCC 4.0と前バージョンのGCC 3.4.3とを比較したところ、新バージョンの方がコードの生成に時間がかかるケースが多く、また生成されたコードのサイズも大きく、動作も遅いことが分かったという。
Laddは両方のコンパイラを4つのソフトウェアでテストした後、「GCC 4.0は前バージョンより優れているだろうか?データを見た限りでは間違いなく『劣っている』」と語った。だが同氏は、「メジャーアップデート直後の『.0.0』バージョンが製品のポテンシャルを完全に発揮するなどと期待すべきではない」として注意も呼びかけた。
Mitchellは、性能向上の他にもいくつかの改善点を挙げた。GCC 4.0では数百のバグが修正されており、また以前はサポートしていなかったプロセッサに対応するソフトウェアを生成できるようになった。さらに、科学分野で広く利用されているFortran 95というプログラム言語で書かれたソフトウェアもコンパイルできるようになっている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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