ライブドアは2月8日、またまたビックニュースを発表して世間を驚かせた。
同社完全子会社で投資顧問や証券投資信託委託を行うライブドア・パートナーズが2月8日、東京証券取引所の売買システム「ToSTNeT-1」による時間外取引によって、ニッポン放送の株式を買付けた。買付け株数は、ニッポン放送の発行済み株式総数の29.6%にあたる972万270株。また、ライブドアは2月4日までにニッポン放送の株式を同5.4%にあたる175万6760株取得していることも発表された。こうした買い付けにより、ライブドアとライブドア・パートナーズが保有するニッポン放送の株式数は、合計で同35.0%にあたる1147万7030株になり、一気に大株主に躍り出た。
ToSTNeT-1とは、通常の株式の売買とは異なり、単一銘柄の注文についてネットワークを介して取引相手を探し出し、個別に条件交渉を行うことで取引が成立する特殊な売買システムのことだ。そのため、発行済株式総数の35%にもあたる大量の株式が“たまたま”売りに出されていたとは考えにくいが、同社代表取締役社長兼CEOの堀江貴文氏は、「市場で一般的に取引きされている株を買っただけで、相手(ニッポン放送株を売った人、もしくは人々)を特定することはできない」と説明しており、特定の相手と事前に相談していたなど、いわゆる「出来レース」ではないことを幾度も強調した。
ライブドア代表取締役社長兼CEOの堀江貴文氏 |
また、これまでにニッポン放送株を取得するために買い付けた金額は総額で約700億円だという。この資金は、同じく2月8日に決議した「2010年満期ユーロ円建の転換社債型新株予約権付社債」の発行により調達する800億円から大半を充てる(払い込み期日・発行日は2月24日)。募集は海外における私募の形を採り、全額をLehman Brothers Commercial Corporation Asia 1社のみに割り当てる。
ニッポン放送の株式については、2005年1月17日にフジテレビジョンが子会社化を目的に株式公開買付け(TOB)を開始することを発表し、これについてはニッポン放送も賛同している。TOBは1月18日〜2月21日に行われ、買い付け価格は1株あたり5950円としている。この発表を受けて、ニッポン放送の株価は1月17日終値5550円から翌日には終値5950円へ当然急伸した。それ以来、TOB価格の5950円を下支えとして堅調に推移してきた。そして、今回のライブドアによる買い付けの話により、「完全子会社化して、場合によってはニッポン放送を上場廃止にしようとまで考えているフジテレビにとっては、TOB価格を引き上げるのは必至だ」「フジテレビとライブドアがニッポン放送の主導権をめぐって争えばTOB価格は跳ね上げる」などの思惑も広がり、2月8日の株価は一時前日比1000円高の6990円とストップ高まで暴騰した。終値は同810円高の6800円と軟化したが、売買代金はこの日の東証2部市場でトップの商いだった。
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