血液中に含まれるコカインを瞬時に検査できるセンサーが、ある研究グループにより開発された。これまで数時間かかっていた調査を大幅に短縮できると期待されている。
このグループは、カリフォルニア大学サンタバーバラ校(UCSB)の研究者、そしてノーベル賞受賞研究者1名と高校生2名で構成されている。グループによると、このセンサーはおそらく、生態毒素や他の薬物の存在を確認するのにも利用できるだろうという。
このセンサーには、コカインに反応する人工合成した特殊なDNA分子が含まれている。このDNA分子は、形らしい形をもたない状態から、わずか数秒のうちにしっかりした構造に形を変化させる性質がある。コカインを含む血液や唾液のサンプルをセンサーに加えた場合、この変化が、DNAに電子を送り込み、その通過状態を見ることで瞬時に測定できる。
「このセンサーは携帯可能なハンドヘルド端末に組み込むことができるため、どこでもテストが可能になる。テストはリアルタイムで実施でき、数時間ではなく数分で終わる」と同チームのAlan Heegerは述べている。Heegerは、ノーベル賞を受賞した物理学教授だ。
このセンサーを組み込む検査デバイスは、既存の安価な電子部品を利用して構築できる。薬物を識別する前に血液や尿を成分ごとに分離する必要がある今日の薬物検査において、このセンサーは大きな進化だとHeegerは述べる。現在の検査では数時間を要し、血液などのサンプルを機材がそろっている検査センターに送る必要もある。
Heegerは2000年、導電性ポリマーの発見と開発でノーベル化学賞を受賞した。Heegerは、このセンサーの研究は他の分野にも応用できると述べている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」