アリゾナ州フェニックス発--Corey BridgesとBill Turpinの発表時間は19時間後に迫っている。両氏はこのとき、当地で開催される「DEMO 2006」カンファレンスでの一か八かの発表を前に、深刻な技術的問題と闘っていた。
DEMO 2006カンファレンスの運営方法は特徴的だ。企業は参加費として何千ドルも払いわずか6分間の時間を確保、自社の商品やサービスを何百人もの記者やベンチャー投資家の前で説明する。準備は万全に整えたほうがよい。失敗したり、せりふを忘れたりしてもやり直しがきかない。次の企業が舞台の袖に控えているのだ。
オンラインゲーム開発用プラットフォームを構築したThe Multiverse Network(本社:カリフォルニア州マウンテンビュー)のBridgesとTurpinの場合も、時計はチクタクという残酷な音を立てている。彼らは宿泊中のホテルの一室で、プレゼンテーションの練習を何度も繰り返している。
コーヒーテーブルには、ルームサービスのパスタの残りが置かれたままになっており、ひげ剃りも後回しという状況だ。
「(今日は)リハーサルを2回したが、せりふを忘れてばかりだ」と同社最高経営責任者(CEO)のTurpinは述べ、「準備が遅れたため、原稿が完成していない」(Turpin)
Turpinによれば、ここ数週間、彼はベンチャー投資家からの支援集めに奔走していたという。マーケティングディレクターのBridgesも、映画監督のJames Cameronが同社の顧問就任に合意したことを告げる記者発表の仕上げに追われていたと言う。Multiverseのような新興企業にとってはどちらも重要な仕事だ。しかし、こちらの作業はDEMOの準備には役立たない。
「DEMOの準備は後回しにされ続けてしまった」とTurpinはいった。
こうして米国時間2月6日午後になっても、BridgesとTurpinはホテルで2台のコンピュータと闘っていた。デモを正確に実行するよう調整していたそのとき、ホテルのネットワークがダウン。彼らのマシンとの闘いはほとんどうまくいかなかった。マシン上のデモのタイミングに合わせて台本の練習をしようとしていたTurpinにとって、これは痛手だった。。
Turpinは1台のコンピュータに向かい、何とかして問題を解決しようと試みる。Bridgesはニヤリと笑いボスを見守る。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」