ルーマニア、コロンビア、そしてカリフォルニア州サンノゼの高校が、まもなく宇宙開発競争に加わることになる。
スタンフォード大学とカリフォルニア科学技術大学サンルイスオビスポ校が開発した「CubeSat」という野心的なプログラムにより、学生や企業でも、実用レベルの人工衛星を組み立てて、これを地球の上空約240〜360マイル(386〜579キロメートル)に位置する軌道上に打ち上げられるチャンスが生まれている。
これらの衛星は、約10cm四方の大きさで重さは約1キロと非常に小型だ。そして、従来の商用衛星に比べて、はるかに少ない費用で組み立てられ、打ち上げることができる。CubeSatのキットは、組み立てと打ち上げにそれぞれわずか4万ドルしかかからない。それに対し、通常の人工衛星は建造に1億5000万〜2億5000万ドルかかり、打ち上げにはさらに1億ドルの費用が必要となる。
スタンフォード大学の宇宙航空学教授で、CubeSatの開発でも重要な役割を担ったBob Twiggsは、「Apple IIのような存在だと思う。普通の人が何かを宇宙に向かって打ち上げられるのだ」と述べている。「最終的にどのように利用されるかは分からないが、インターネットがどうなったか見て欲しい」(Twiggs)
Apple IIは、1980年代前半に一般大衆の間で大人気を博した最初期のパーソナルコンピュータの1つだ。その後1990年代に入ると、それまで大学などでひっそりと利用されていたインターネットが爆発的に拡大し、主流の技術となった。それと同じようなことが人工衛星の世界でも起こるのだろうか。
CubeSatsは、性能で商用衛星と競合することはできないが、星空に浮かぶオモチャというわけでもない。スタンフォード大学とQuakeFinderという会社は、3連のCubeSatを2003年に打ち上げ、これで断層から出る地震エネルギーを監視して、地震の予知に役立てようとしている。Twiggsによると、このQuakeSatがサンアンドレアス断層上空を通過するたびに低いレベルのエネルギーが検知されているという。なお、現在は2008年の打ち上げを目指して第2世代機の設計が進められている。
一方、東京大学のCubeSatは太陽電池パネルを推進力にし、低解像度カメラで撮影したデジタル写真を圧縮して地上に伝送している。こちらは現在までに9機が打ち上げ済みで、来年春には3機が新たに打ち上げられる予定だ。
「実現できるとは思っていなかったが、実際に毎週デジタル画像を受け取っている」(Twiggs)
宇宙開発は、同プログラムがなければ到底手の出せない研究分野だが、このCubeSatsプログラムは、各地の学校の生徒や学生が宇宙船や人工衛星の開発に取り組む実践的な機会となっている。ルーマニアのブカレスト大学の学生グループは現在、政府機関の支援を受けながら、3種類のCubeSatsを組み立てている。また、Twiggsはコロンビアのセルジオアルボレダ大学で学生にCubeSatsの組み立て方を教えている。
「ルーマニアでは、これまで1度も衛星を組み立てたことがなかった。コロンビアも同じだ。宇宙に本当に興味のある全く新しい世代の学生が生まれつつある」(Twiggs)
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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