南米の熱帯雨林が二酸化炭素を保持する期間は、これまで考えられていたよりもはるかに短いことが新たな調査でわかったが、このことが地球温暖化対策に影響を及ぼす可能性がある。
ワシントン大学、ライス大学、ストラウド水研究センターの研究者らが新たに行った調査の結果によると、湿地や河川から吐き出される二酸化炭素の大半は、およそ5年程度森林内にとどまるという。
アマゾン川流域に240平方マイルにわたって広がる熱帯雨林は、光合成によって大量の二酸化炭素を取り入れる。科学者らは長い間、木々が何十年後かに朽ちるまでの間、取り込まれた二酸化炭素の大半がそのなかにとどまると考えてきた。サンプルとして採取された水から発見された炭素を測定すると、それらは40〜1000年前のものだったと、ワシントン大学のEmilio Mayorgaはいう。
二酸化炭素は太陽エネルギーを閉じ込める温室効果をもたらすため、科学者の多くは、熱帯雨林が工業化によって発生する地球温暖化の影響を食い止めることに役立つと仮定してきた。
しかし、ライス大学のMayorga、Carrie Masiello、そしてストラウド研究所センターのAnthony Aufdenkampeは、同地域内の空気中の炭素の測定も行うことにした。その結果彼らは、そこに河川流域の有機体が排出してから数年しか経過していない、大量の二酸化炭素があることを発見した。
「以前の調査では、急速に変化する森林の炭素の流れを特定することはできなかった。なぜなら、河川流域の有機体が発生させた見えない温室効果ガスの年代を特定できたなかったからだ」と、Aufdenkampeは声明の中で述べている。「研究者らはこれまで、この熱帯雨林の炭素が空気中へと循環するシステムが非常にゆったりとしたものであり、少なくとも温室効果を一時的にでも和らげる効果があると仮定していた」(Aufdenkampe)
この論文の全貌は、7月28日号の科学誌Natureに掲載される。
科学者や政治家らは、彼らの考える「人間の活動がどれだけ地球温暖化に影響を与えるか」という点で意見が異なるが、地球の気温が明らかに上昇しているという点では意見が一致しつつある。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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