サン・マイクロシステムズと東京大学は6月20日、IT技術の共同研究に関する提携を取り決めたことを明らかにした。研究費用は主にサン・マイクロシステムズが負担し、東京大学の博士課程を終えたポスドク(ポストドクター)を人材として登用する。研究予算は数億円規模。両者とも従来から産学連携プロジェクトに注力しており、東京大学にとっては「Propries21」と呼ぶ同学の産学連携スキームの一環として9社目の提携企業となる。
研究対象は、例えばグリッド・コンピューティングなど、IT(情報技術)関連の技術全般である。2005年6月から7月にかけて研究員をアサインし、何を研究するかを決める。研究の開始時期は2006年春を予定する。現時点では研究テーマや研究プロジェクト数など、具体的な事業規模は未定である。米Sun Microsystemsのワールドワイドでの年間研究開発費用は20億ドルであり、今回の提携は同社の研究開発の一環として位置付けられる。
今回の提携の最大の特徴は、研究員として東京大学のポスドクを登用する点である。サン・マイクロシステムズから見た共同研究のメリットは、社外の流動的な人材を自社の研究開発に活用することで自社雇用することによるリスクを回避できる上、その半面、人材を自社従業員として雇用する活動を兼ねる点である。一方、東京大学から見たメリットは、企業と提携することで産学連携の実務ノウハウを得るとともにグローバル化を図り、市場の中での自大学の価値を高められることである。
東京大学が今回適用する産学連携スキームのPropries21は、同学の産学連携本部が事業として実施するプログラムである。価格は個別対応となるが、例えば医療分野の参考例では、動体を視認して移動する薬品運搬ロボットの研究に4社が6カ月参加した場合、大学側の研究員10人が付いて1社あたり2500万円程度の共同研究参加費用と、別途調査費が500万円程度がかかる。
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