NTTドコモが「フルブラウザ」という単語を商標出願していることが明らかになった。出願日は2005年3月22日。携帯電話端末や携帯電話のプログラムなどの区分が対象となる。
出願番号は2005-24770。詳細は特許電子図書館のサイトで閲覧できる。現在は特許庁の審査官によって審査が行われている段階で、商標登録はされていない。
フルブラウザとは、一般的に携帯電話からPC用サイトが見られるウェブブラウザのことを指す。ノルウェーに本社を置くOperaの「Opera」やACCESSの「NetFront」、jig.jpの「jigブラウザ」、プログラマーズファクトリの「Scope」などがある。国内で初めてフルブラウザを搭載した端末を出したのはウィルコムで、2004年5月にOperaを搭載した京セラ製端末「AH-K3001V(通称:京ぽん)」を発売した。NTTドコモはフルブラウザ搭載端末のFOMA「M1000」を2005年4月に、「N901iS」を5月にそれぞれ発表しているが、まだ販売には至っていない。
フルブラウザを商標出願した理由について、ドコモでは「フルブラウザという単語をドコモとして使う意志があるためだ」と説明する。現時点で具体的な予定はないというが、将来的にフルブラウザという単語の入った名称の商品やサービスを提供したい考えのようだ。
商標審査は出願から6カ月程度で行われる。この際、「自己の商品役務と他人の商品役務とを識別することができないもの」または「公益上の理由や私益保護の見地から商標登録を受けることができないもの」については拒否される。つまり、対象となる製品が他社のものと区別がつかない場合や、1社が独占的に使用することが公益上ふさわしくない場合は拒否される。仮に商標が認められた場合、登録料の納付を経て3週間程度で登録が完了し、1カ月以内に商標公報に掲載される。
商標が認められると、他の企業はフルブラウザという名前を自社の商品やサービスに勝手に付けられなくなる。これには他社から戸惑いの声が上がっている。たとえばjig.jpでは「フルブラウザの認知度を高めるため、以前よりフルブラウザという言葉をプレスリリースなどで積極的に使ってきた。商標が認められることで自由に使えなくなるのは困る」と話す。
商標をめぐる同様の例としては、公衆無線LANサービスの「ホットスポット」という単語がNTTコミュニケーションズによって商標登録されたケースがある。これは公衆無線LANサービスが普及する以前の2000年に出願され、2002年に登録が完了した。また、最近では角川ホールディングスが「NPO」や「ボランティア」という単語を2003年に商標登録し、NPO団体の異議申し立てによって商標が取り消されている。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」