NTTドコモは5月10日、2005年3月期の連結決算を発表した。ファミリー割引などの料金引き下げ施策や第3世代携帯電話(3G)端末のコスト増などが響いて減収減益となり、営業利益は前期比28%減の7842億円と1兆円を割り込んだ。通期の営業利益が減少に転じたのは1998年の上場以来初めてのことだ。
営業収益(売上高)は前期比4.0%減の4兆8446億円、営業利益は同28.9%減の7842億円、税引前利益は同17.0%増の1兆2882億円、純利益は同15.0%増の7476億円となった。税引前利益と純利益が増えたのは、AT&T Wireless Servicesの株式売却益5018億円を計上したため。
2004年度の業績について同社代表取締役社長の中村維夫氏は、「携帯電話市場は右肩上がりで伸びてきたが、普及率が90%を超えてから伸び幅に先が見えてきた。このため(限られたパイを奪い合うために)各社の料金競争が激しくなり、割引拡大が大きな減収要素となっている。また、2Gから3Gへの移行期にあり、FOMA端末や通信設備の減価償却費用も業績に大きな影響を与えている」とコメントした。
しかし契約者数の推移については、「2004年3月期には35.3%とだった純増シェアが2005年3月期には48.7%となり、解約率も2004年3月期の1.21%から2005年3月期には1.01%になった。FOMAの契約者数は4月末に1200万件となり、予想を上回るスピードで契約者数が増えている」と話し、好調であるとアピールした。
業績の内訳を見ると、無線通信サービスの営業収益は前期比4.3%減の4兆2965億円となった。音声収入とパケット通信収入の両方が前期割れとなっており、音声収入は同5.8%減の3兆717億円、パケット収入は同0.9%減の1兆606億円となった。
1契約あたりの月間平均収入を示すARPUはFOMAが前期比630円減の9650円、movaが同1030円減の6800円となり、FOMAとmovaを合わせた総合ARPUは同690円減の7200円となった。
営業利益は減収となったが、同社では株主配当を前期比2倍の1株あたり4000円とする。配当を増やすことで、株の長期保有を促すことが目的だ。また、株主は同社のサービスを利用していることが多く、ユーザーの囲い込みにもつながるとみている。
2006年3月期は割引施策の影響で減収傾向が続くものの、端末機器販売が伸びることなどから増収に転じるとみている。営業収益は前期比0.8%減の4兆8050億円、営業利益は同3.3%増の8100億円、税引前利益は同37.0%増の8120億円、純利益は同33.5%減の4970億円になるとみている。新たな収益源の確立に向け、テレビ話や国際通信、iモードFeliCaを利用したクレジットサービスなどに力を入れていくとしている。
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