伊藤忠テクノサイエンス(CTC)は、メディア・リンクスが行っていた架空循環取引の疑惑事件を受けて、4月13日にその対応と過去年度に渡る決算の修正などを発表したが、4月14日には訂正した決算金額の一部を再度訂正して発表した。
メディア・リンクスは、情報処理システムの販売やサービスの提供を手がけ、大阪証券取引所のヘラクレス市場に2002年10月8日(当時はナスダック・ジャパン)から2005年5月1日まで上場していた。架空の製品取引を繰り返し、売上を水増しして有価証券報告書に虚偽を記載するなど、同社社長の新堂吉彦容疑者は証券取引法違反と業務上横領の罪で2004年12月に大阪地裁に起訴された。
この架空取引にはCTCやライブドアなど数十社が関連したとされるが、その中でもCTCは元社員がこの架空取引の資金を着服した疑いで2005年3月11日に起訴されている。架空循環取引の手口は、関連した企業が実際に製品を出荷せずに代金を徴収し、別の会社にその代金を回すことを繰り返して最終的にメディア・リンクスへ入金される仕組みだという。
こうした疑惑の中、CTCは調査委員会を設けてメディア・リンクスとの取引に関する書類や入出金などを再確認した。しかし、同社では「社内調査で把握しうる範囲においては架空循環取引と断定しうる状況には至らなかった」と説明した。
それでも、1997年度以降の7年間において、メディア・リンクスとの直接的な取引で架空取引ではないと確認できたものを除く全取引と、関係当局への調査協力の過程から判断して架空取引を構成していた可能性がある取引については、過去年度に渡って(1998年3月期から2003年3月期)決算書などの数値を訂正した。具体的には、これらの取引を通常の営業取引から営業外取引に変更して扱い、その売上高と売上原価を取り消して、取引純額を営業外損益に計上し直した。これに伴い、親会社の伊藤忠商事も過年度に渡り決算数値を修正している。
再度訂正されたCTCの2003年3月期連結決算は、売上高が2732億円(訂正前に比べて152億4900万円の減額修正)、営業利益が165億6700万円(同10億7000万円の減額修正)となった。修正した7期分の合計で、売上高は221億円、営業利益は11億6600万円減額修正された。
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