米国の破産裁判所で6日に行なわれたインターネット関連特許数十件の競売で、謎の入札者が1550万ドルでこれらの特許を落札し、急いで法廷から姿を消した。
今回競売にかけられたのは、破産したソフトウェアベンダCommerce One(本社:カリフォルニア州サンタクララ)が保有していた特許37件。現在同社は破産手続きと資産の清算を行なっている。
競売にかけられた特許のなかには、Webサービスに関連するものもいくつか含まれている。Webサービスはインターネット上でビジネス文書を交換する際によく使われている重要なプロトコルで、MicrosoftやIBMをはじめ、規模の大小を問わず多くのソフトウェア企業が自社製プログラムに同プロトコルを組み込んできている。
今回、特許を落札したのはJGR Acquisitionsと呼ばれる企業だ。JGRの代理人を務める弁護士は、同社について一切語らず、競売終了後、記者らの質問をかわし、急いで法廷を後にした。
Commerce Oneの弁護士や競売への入札を求めた銀行関係者らも、JGRについてのコメントは避けた。同社が裁判所に提出した書類にもわずかな情報しか記載されておらず、JGRの事業内容、所有者、所在地、新たに取得した特許の利用計画など、全ては謎のままだ。
これらの特許は、適用範囲が広すぎて権利を主張できなかったり、あるいは権利を主張したとしても相手から異議を申し立てられて無効となる可能性もある。それにも関わらず、今回の競売はGoogle、Oracle、Sun Microsystemsなど、シリコンバレーに拠点を置く一部の大手企業らの注目を集めていた。先月には、上記企業をはじめとする10数社の代表者が集まり、競売や落札者から特許侵害訴訟を起こされる可能性について協議していた。
この会議に参加した企業各社は、互いに資金を出し合って特許権の競売で共同入札し、落札できた場合は特許権を放棄する案も検討した。しかし、この案は結局実行には移されなかったようだ。共同入札案を提案した非営利組織CommerceNetは、6日の競売には参加しなかった。
一部の企業は、今回落札したJGRが、Commerce Oneがこれまで無料での使用を認めてきた技術に対し、特許権使用料を請求するのではないかと憂慮している。Van Pelt & Yi法律事務所に所属する知的財産権専門弁護士、Lee Van Peltによると、仮にJGRが特許権行使により高収入を得ようと目論んでいる場合、同社は特許権使用料や和解金などの名目で1億ドル以上を請求する可能性があるという。特にMicrosoftやIBMなどの資金力のある企業は特許権行使のターゲットになりやすい、とVan Peltは指摘する。
JGRに競り負けた7人の入札者には、元Microsoft幹部のNathan Myhrvoldとつながりのある2つの企業が含まれていた。Myhrvoldは現在、特許権を収集しているIntellectual Venturesと呼ばれる企業を経営している。また、このうちの1社は、ニュージャージー州クリントンに拠点を置く知的財産専門のコンサルティング会社ThinkFire Services USAだが、Myhrvoldは同社の共同設立者で、現在は会長を務めている。同社は1430万ドルで入札した。同じくMyrhvoldを雇用しているBrisacは1490万ドルで入札していた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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