IBM、ソニー、ソニー・コンピュータ・エンタテインメント(SCEI)、東芝の4社は11月29日、共同で開発中の次世代半導体「Cell(セル)」のデザインコンセプトの概要を公開した。
Cellは、64ビットのPowerプロセッサコアと、複数の独立した浮動小数点演算コアを有するマルチコア方式のプロセッサ。膨大なメディア演算処理をリアルタイムに行うことが可能という。また、複数のOSを同時実行することもできる。4社はCellをデジタル家電機器やコンピュータエンタテインメント・システム、ワークステーションなどに利用する考えだ。
主な特徴として4社が挙げているのは以下の通り。
Cellの開発は米国テキサス州オースチンに設置された開発施設において行われており、4社のエンジニアがアーキテクチャの構築からシステム設計、Cellプロセッサチップの実現に共同で取り組んでいるという。「膨大な浮動小数点演算能力と極めて高速のデータ転送能力により、スーパーコンピュータ並みのパフォーマンスを有する高性能プロセッサが実現に向かっている」(4社)
IBM、ソニー、SCEIの3社は同日、Cellベースのワークステーションの試作機が稼働を始めたことも発表した。この試作機はCellを利用した最初のアプリケーションになる。同ワークステーションは1ラックで16テラFLOPSを達成する見通しという。
4社はCellの開発計画も明らかにした。IBMは2005年上半期に米国ニューヨーク州イーストフィッシュキルにある同社の300mm半導体工場で、Cellマイクロプロセッサの試作を開始する予定だ。
ソニーはブロードバンドに対応したホームサーバ群とハイビジョン対応のデジタルテレビにCellを搭載し、2006年に製品化を開始する計画。SCEIは次世代のコンピュータエンタテインメントシステムにCellを搭載するとしている。東芝では、第1弾としてハイビジョン対応のデジタルテレビを2006年に製品化する計画だ。
4社は2005年2月6日から10日まで米国サンフランシスコで開催されるISSCC(国際個体素子回路会議)で技術的な内容を発表する予定としている。
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