UnixとLinuxの両オペレーティングシステム(OS)の取り扱いをめぐり、IBMを相手取って訴訟を起こしているSCO Groupは先週、要求した文書を開示していないとしてIBMを非難した。
SCOは米国時間7月6日、幹部が残した証拠のメモや、多くのIBMバージョンUnixの基になっているソースコード、UnixとLinuxに関与したプログラマの情報をより多くIBMに提出させるための「改訂版」の申し立てを行った。申請書類の中でSCOの弁護士は、「IBMは、証拠開示義務と法廷の命令を守っていない」と述べている。
SCOが今回提出した書類によると、IBMの最高経営責任者(CEO)Sam Palmisanoからは「入念にふるいにかけた文書を限定的な数だけ提出したに過ぎず」、Linux担当の幹部Irving Wladawsky-Bergerからは何も提出されていないという。SCOはまた、IBMが自社Unix製品の現行および旧製品の全バージョンのソースコードを提示すべきだとも述べる。
IBMの広報担当Mike Darcyによると、同社では現在、弁護士がSCOの申請書類に目を通しているところで、コメントには応じられないという。
この訴訟でSCOは、IBMがプロプライエタリなUnix技術をオープンソースのLinuxに移植し、Unixに関する両社間の契約を侵害したと主張している。SCOはこのほかにも、複数の会社を提訴し、LinuxがSCOの所有するUnix関連の知的所有権を侵害していると主張する。SCOのもう1つの訴訟ターゲットである米Novell(初期のUnix所有者であり、現在はLinuxを販売する)は、自分たちが今もUnixの著作権を所有すると主張している。Unixを所有するというSCOの主張は、SCOの数々の訴訟の鍵を握る。
SCOは、50億ドル以上の損害賠償をIBMに求めている。裁判は、ユタ州の米連邦地方裁判所で2005年11月1日から5週間にわたり行われる予定。
SCOは8日、裁判に先立つ証拠開示の対象者を拡大し、Linuxの主導者であるLinus TorvaldsをはじめとするLinuxプログラマにも証言を求める予定であることを明らかにした。
また、SCOは、Linuxにおける取り組みがSCOの著作権を侵害していないという、IBMの3月の主張を法廷が支持し続けるのであれば、さらなる情報が必要だと述べている。
7月8日、SCO側の法律事務所Andrews Kurthの弁護士John Harropは、「SCOは、世界数千人の貢献者に対し誰がLinuxに実質的な貢献をしたのか、と供述を求めるつもりはない」と述べた。しかし、その一方でSCOはTorvaldsからの情報を求めている。
SCOは、Tolvaldsから「Linux誕生当初までさかのぼった貢献者と貢献内容に関する知識、および保存されているLinux開発史におけるあらゆる記録」を提示してもらいたい考えだ。「Torvaldsは、公では入手できない貢献者や貢献内容に関する詳細な記録や資料を持っているはず」とKurthは述べる。
SCOはこれに加えて、さまざまなLinuxパーツの保守管理に責任を持つシニアプログラマやIBMのパートナー会社、Linuxに貢献した民間グループからも情報を入手したいとしている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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