カナダのAll Computersというコンピュータ部品メーカーは米国時間20日午前、5億ドルの損害賠償を求め、Intelを特許侵害で提訴した。
トロントに本社を置くAll Computersは、提出した訴状のなかで、IntelのPentiumプロセッサが、All Computersの持つ高速マイクロプロセッサの動作に関する特許を侵害したと主張している。
All Computersの顧問弁護士Edward O'Connorは、Intelに対し、同社は賠償金に加え、当該特許で保護された回路を搭載した、もしくはこれと連動するプロセッサや各種チップの出荷に関する永久差し止めも求めるている、と語った。
これに対し、Intel広報担当のChuck Mulloyは電子メールで、「今回の訴訟には本案がなく、徹底的に争うつもりだ」と述べている。
今回の訴訟は、Intel製チップと顧客を巡って続く紛争の1つ。4月には、Patriot Scientificというサンディエゴに本社を置く小さな半導体設計会社が、120MHz以上のスピードで動作するPentiumチップの搭載は同社が保有するチップ関連特許侵害の疑いがある、との書簡を150社の企業に対して送付している。
Patriotはさらに、富士通、松下電器、NEC、ソニー、東芝のPCメーカー5社も提訴している。Patriotはこれらの訴訟でも、120MHz以上で動作するコンピュータの販売に起因する特許侵害を訴えている。
Patriotは書簡や訴状の中で、当該企業各社は高速プロセッサがタイミングを取る手法に関する技術特許を侵害している、としている。Patriotでは、同社の知的財産は1500億ドル相当のチップに組み込まれている、と主張している。
一方のIntelは、Patriotの主張も無効だと確信していると語っていた。
だが、同社は、ほかの特許裁判については和解に応じてきた。Intelは、かつてワークステーションを開発していたIntergraphに対し、総額6億7500万ドルの支払いに同意している。これは、IntelのItaniumとPentiumの両チップがIntergraphの開発したClipperプロセッサの特許を侵害したとされる2件の訴訟の和解金だった。
All Computersが問題にしている特許は、米国特許第5506981号の「Apparatus and Methods for Enhancing the Performance of Personal Computers(パーソナルコンピュータの性能向上のための機構および手法)」というもの。これには1996年に特許が下りている。O'Connorの話では、この特許は高速プロセッサがコンピュータ内部のほかの部品と通信するために必要な回路について記述したものだという。
当該特許はこれを利用するほかのプロセッサや製品にも適用される、と同氏は話しており、All Computersがほかにも特許訴訟を起こす可能性があることを示唆した。
同社は特許のライセンス供与をIntelに提案したが、同チップメーカーからAll Computersには回答がなかった、とO'Connorは話している。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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