KDDIは4月23日、2010年3月期の通期連結決算と、2011年3月期の業績見通しを発表した。2011年3月期は固定通信事業の黒字化に注力するとともに、資本参加したジュピターテレコム(J:COM)との協業を進める。
2010年3月期の業績は、営業収益(売上高)が前期比1.6%減の3兆4421億円、営業利益が同0.1%増の4439億円、経常利益が同4.0%減の4229億円、純利益が同4.5%減の2128億円。経常利益については、ネットワークの整理に伴う構造改革費用や減損損失など611億円を特別損失に計上したことが響いた。
このうちauを展開する移動通信事業は、売上高が前期比2.5%減の2兆6501億円、営業利益が同3.5%減の4837億円と減収減益になった。端末販売台数は1020万台となり、当初目標としていた1000万台は突破した。第4四半期における端末販売が好調だったという。比較的価格の安いミドルレンジ端末を多くそろえて販売奨励金を抑え、通期での平均単価は前期より3000円低い3万6000円となった。
解約率については、前期から0.04ポイント減少の0.72%となった。ただし第4四半期に限ると、前年同期から0.07ポイント増え0.85%に上がっている。通期におけるユーザー1人あたりの月額利用料(ARPU)は、前期比390円減の5410円となった。
現在利用している800MHz帯の使用期限が2012年7月に迫っていることから、2011年3月期は現800MHz帯、新800MHz帯、2GHz帯の3つが利用できるトライバンド対応端末の販売に力を注ぐ。
3月末におけるトライバンド対応端末の台数は2067万台で、全ユーザーの67%にとどまっているという。つまり、現在のままでは残りの33%が2012年7月以降、持っている端末が使えない、もしくは非常につながりにくい状態になってしまう。すでに対象顧客にはダイレクトメールで告知している段階だが、KDDIではトライバンド対応の新端末にユーザーを移行させるべく、今後は機種変更手数料の無料化や、買いやすい低価格帯の端末を提供するなどの施策を進める。2011年3月期には、これらの費用として約800億円を見込んでいる。また、前期より40万台多い1060万台の販売を目指す。
固定通信事業は、売上高が前期比1.1%減の8392億円、営業損失は123億円縮小し442億円の赤字となった。中部地区で光ファイバ事業を営む中部テレコミュニケーション(CTC)が単年度黒字化するなど、固定通信事業の黒字化に向けて進捗は順調であるとした。
資本参加したJ:COMとは、すでに共同で具体的な提携内容を検討するアライアンス検討委員会を設置し、協議を始めているという。「通信事業・商品提携WG」「メディア事業WG」「CATV事業WG」「技術・インフラWG」の4つのワーキンググループを設置し、どんな連携や協力ができるかを議論している段階だ。
J:COMの筆頭株主である住友商事とは、4月22日にKDDI代表取締役社長兼会長の小野寺正氏が取締役社長の加藤進氏と面会し、短期的、中期的に協力することで合意したとのこと。「TOB(株式公開買い付け)に関する規制の中で、22日まで会うことができなかった。住友商事が関心のある分野のワーキンググループに入るか、もしくは住友商事とKDDIだけのワーキンググループを作るという話はしている」と小野寺氏は話し、3社が協力してシナジー効果を生み出していくと強調した。
2011年3月期の業績は、売上高、営業利益ともほぼ横ばいを見込む。売上高は前期比0.1%減の3兆4400億円、営業利益は同0.3%増の4450億円となる見通しだ。
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