最初に「Macintosh」があった。次に「iPod」があり、そして「iPhone」、今や「iPad」がある。その次にAppleの兵器庫に控えているのは、弁護士だ。
Appleが米国時間3月2日、同社の特許権を侵害したとしてHTCを提訴したとき、名指しされたのは確かに1社だけかもしれないが、Jobs氏が率いるAppleは、iPhoneに似たデバイスを販売するほぼすべての企業に対して、法的な警告を発していた。
しかし、この争いはどこまで広がるのだろうか。この問いに対する答えは、まだ得られていない。
今回のHTCに対する訴訟は、Appleがスマートフォン市場における自社の領域を主張する中で、数多い訴訟の最初のものとなる可能性がある。Motorolaやサムスン、Sony Ericssonといった、より大規模なメーカーは、後になって自分たちに照準が定められていることに気が付くかもしれない。そして、今回の訴訟がHTCから始まったとしても、Appleが特許戦争を積極的に進めるなら、最終的にはさらに大規模な企業、GoogleやMicrosoftと戦うこともあり得る。
カリフォルニア大学バークレー校ロースクールでSamuelson Law, Technology & Public Policy Clinicのディレクターを務めるJason Schultz氏は、次のように語る。「Appleが、単に競争相手の1社を押しのけたいだけなら、GoogleやMicrosoftが巻き込まれることは一切ないかもしれない。しかし、Appleが自社の縄張りを主張しようとしていて、タッチスクリーン式スマートフォン市場全体が自らのものであることをみなに知らせようとしているのなら、決定的対決が訪れるだろう」
この訴訟はまだ始まったばかりだ。Appleは問題となっている特許を挙げているが、HTCがそれらの特許をどのように侵害しているかについて、まだ考えを明確にしていない。Appleがより詳細な議論を提起し始めれば、同社の戦略がずっと容易に分かるようになるだろうとSchultz氏は言う。
Appleの訴訟は、どこまで広がるにせよ、iPhoneの類似品を阻止したいという明確なメッセージを送っている。3年前にiPhoneが発売されたときまでさかのぼってみても、最高経営責任者(CEO)のSteve Jobs氏が、iPhoneで市場の独自のニッチを確保したいと考えていたことは明らかだ。同氏は、iPhoneを初公開するプレゼンテーションの中で、AppleがiPhoneのテクノロジに関して申請した200以上の特許に言及することも忘れなかった。
それ以来、Appleの経営陣は繰り返し、その特許を保護すると言ってきた。2009年、Palmが「Palm Pre」によってマーケティングの大攻勢をかけていたとき、Appleの最高執行責任者(COO)Tim Cook氏は、競合企業について質問されて、Appleは自社の特許を侵害するいかなる企業とも相手になる用意と意志があると述べた。
「競争は好きだが、それは相手がわれわれの知的財産を盗まなければの話だ。もし盗まれれば、それがどこであれ追求するつもりだ」(Cook氏)
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
地味ながら負荷の高い議事録作成作業に衝撃
使って納得「自動議事録作成マシン」の実力