Intel、Microsoft、Nokia、Dell、パナソニックなど、15社を超える技術系企業が業界団体Wireless Gigabit(WiGig)Allianceを立ち上げた。ギガビット速度で短距離データ通信を行うための新しい無線通信規格を推進するのが目的だ。
新しい「WiGig」規格は、現行のWi-Fi技術よりもはるかに高速の約6Gbpsでデータを送信する。この高速無線通信技術が実現すれば、コンピュータとセットトップボックス間でHD動画を容易に転送できるようになる。
だが、この技術は短距離通信にしか対応しないため、主として、室内で家庭用娯楽機器間の無線接続を実現するのに使用される見込みだ。一方、Wi-Fiはそれより通信速度は低いものの信号の到達距離は長く、家全体での無線接続が可能だ。
WiGigのほかにも、機器間でHD動画を無線でやりとりするための技術は存在する。「WirelessHD」は、セットトップボックスとBlu-rayプレーヤー間で動画データを転送するために開発された。また、「Wireless Home Digital Interface(WHDi)」も、Wi-Fiに似た技術を利用して高速無線通信サービスを提供する。超広帯域無線も、無線ネットワークで大容量のデータを送信するソリューションとして何年も前から存在している。
これまでのところ、WiGig以外のこれらの技術はいずれも普及していない。だが、状況が変わる可能性もある。HDTVサービスの契約者が増え、ウェブから自宅のテレビに動画コンテンツをストリーミングしようとする動きが見られることから、リビングで別の機器にコンテンツを転送できる短距離無線通信技術へのニーズは今後高まると予想される。
また、数々の大手技術企業が支持していることを考慮すると、WiGigが脚光を浴びる可能性は高いかもしれない。WiGigを支持する企業には、チップメーカーのAtheros Communications、Broadcom、Marvell International、MediaTekも含まれ、これらの企業はWiGig Allianceの理事を務めている。Dell、LG Electronics、サムスン、NECも理事に名を連ね、WiGigを支持している。さらにIntelも、会長のAli Sadri氏ほか幹部数人がWiGig Allianceに関わっている。
WiGig規格は、WirelessHDも使用している60GHzの周波数帯域を使う。免許なしに利用可能なこの無線周波数帯域は、現在ほとんど使用されていない。WiGig Allianceに加盟する企業の多くはWi-Fi規格にも貢献しているため、WiGig AllianceとWi-Fi Allianceが今後協力する可能性もある。
新技術の規格は2009年後半に登場する予定で、早ければ2010年に対応製品が発売される可能性がある。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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